「宅建とっても仕事ない?」「宅建資格の将来性や必要性は?」
大人気の国家資格「宅建士」、資格取得に興味あり、検討中の方も多くいらっしゃるでしょう。
とはいえ、宅建の将来性がバラ色かといえばそれもギモン。
この記事にたどり着いたということは、宅建士にバラ色の未来はないことを、薄々気が付いているのかな?
基本的には「宅建、終わり」が私の意見なのですが、そんな中でも勝ち残る戦略もあるので、論理的に解説します。
私自身は、事業会社の役員として店舗の出店開発の仕事に携わっています。宅建士の方と一緒に仕事をする機会も多く、業界全体を客観的にみられる立場です。
3分くらいで読めると思いますので、少しお付き合いください。
宅建士の将来が終わっている3つの理由
次の3つです。
理由①:不動産取引が減少する
理由②:不動産取引の自動化が進む
理由③:就業宅建士が増える
理由①:不動産取引が減少する
1つ目は業界全体のパイが小さくなる話。
現在、不動産取引が活発なのは首都圏を中心に大都市圏だけです。
なぜそのような事が起こるかと言えば、2000年以降に人や経済が地方から大都市へ移動したからです。
一方で地方の空き家問題は深刻です。
すごい田舎という訳でなく、例えば東京から2時間、人口20万人程度の都市も含みます。
日本の世帯数は5400万世帯、一方で住宅戸数は6240万戸。
そもそも需給バランスが取れていません。全体の13%は空き家の計算です。
地方で空き家が増えつつも都会に新しい家が建ったため、何とか不動産業界全体では帳尻が合いました。これが実態です。
でも、大都市では新しく建てる場所もなくなってきています。
一方で日本の人口は減少し続けています。
昭和の時代のように再び郊外へ人や経済が移動するならともかく、都心に場所もない、人口も減るでは、不動産取引の市場はやがて縮小するのは間違いないです。
宅建士が活躍するのは不動産取引が行われる時。
そもそも不動産取引がなくなれば、宅建士の仕事もなくなります。
理由②:不動産取引の自動化が進む
2つ目は宅建士の仕事がコンピューターに取って代わられる話。
第一の波は、スーモやアットホーム、ホームズなどの物件紹介サイトが現れた頃。
昔は不動産屋さんの店頭でしか得られなかった情報が、インターネットのおかげで誰でも簡単に手に入るようになりました。
単に情報があるだけで偉そうにしていたバブル昭和風の不動産屋さんは街から消えました。(いまだに絶滅危惧種みたいに残っていますが・・・)
不動産屋のオッサンの頭の中が、ネットに取って代わられました。
次は不動産取引そのものが自動化される第二の波。
VR内見・AR内見
最新テクノロジーを使って、現地に行かなくても不動産の詳細を知ることができます。知人の不動産投資家は、行ったことも見たこともない不動産物件を多数保有しています。
IT重説
法律が改正されて、契約前の重要事項説明(宅建士の専任業務)が対面でなくても、ZOOMなどのウェブ会議システムを使って出来るようになりました。
電子契約
日本のハンコ文化がいかに馬鹿げているかは、コロナ自粛下にハンコを押印するためだけに出社していた大企業の管理職の笑えない話があります。やがて無くなるでしょう。
AIによる不動産価格査定
経験豊富なプロの頭に頼っていた仕事も、コンピューター学習が進めば名人以上に最適な取引価格を算出するかも。
第二波で、すべての仕事がコンピューターにとって代わられる事はありません。
例えば、重要事項説明は依然として宅建士の仕事ですし、VR内覧をするにしても説明は必要です。
とはいえ効率化により、これまで10人で行っていた仕事を5人で回すことは楽勝そう。つまりは5人、宅建士が余るということです。
理由③:就業宅建士が増える
最後に競争相手が増える話です。
現在、宅建士の資格登録者数は約100万人。
そのうち実際に宅建士として仕事ができる人(宅地建物取引士証の交付者)が約50万人、宅建士の仕事をしている人が約30万人です。
つまり20万人から70万人は「潜在的な宅建士」です。
例えば潜在的になる理由です。
・年齢や家庭の事情で働く意志がない
・今は宅建士以外の仕事についている
・宅建資格は自己啓発
人により事情は様々。
でも、さきほど紹介したように宅建の自動化が進めば、子育て主婦がテレワークで行うことや、地方に住みながら東京の仕事を行うことが可能。これまでしたくても出来なかった、潜在的な宅建士が仕事を始めることも充分に想像できます。
副業マッチングアプリ『クラウドワークス』で確認してみたところ、1件5,000円~6,000円で重要事項説明のアウトソーシング募集がありました。
自動化によって10人の仕事が5人で出来るようになるだけでなく、新たな競争相手が5人増える格好です。
以上が、宅建士に将来性を感じない理由です。
でも「終わり」と言ってしまうのは簡単。これはあくまで予想される将来の環境なので、この環境の中でも個人が勝っていく戦略を3つ考えました。
宅建士が勝つための戦略3つ
次の3つです。
戦略①:不動産取引のプロになる
戦略②:伸びる領域で戦う
戦略③:副業として戦う
戦略①:不動産取引のプロになる
1つ目は、自分の専門分野を深掘りし「プロ中のプロ」になる戦略です。
不動産の分野は多岐にわたります。
個人宅、マンション、オフィスビル、商業ビル、医療や介護施設、ホテルなどもあれば、不動産開発に関すること、売買に関すること、賃貸に関すること、不動産管理に関すること、不動産投資に関すること、不動産の法律に関すること、かなり幅広いです。
宅建士の試験は、ぶっちゃけ広く浅く。広範囲の中から、ごく基本的なことを問われるにすぎません。
試験にパスしても、実はその分野の専門性なんてゼロに等しいですよ。
言い方は悪いですが試験合格がゴールと考える人が多く、さらに専門性を突き詰める人が少ない。資格を持ったことで安心するのですかね。
大多数がそうなら、逆に違う道を歩めば勝算ありです。
特定分野に高い専門性を持つ宅建士は希少性が高く、間違いなく勝ち残ります。
私の経験ですが、間違いなく魅力的なのに法律が複雑に絡んで私たちのような業種の建物が建てられない土地がありました。
競合各社が検討するものの断念。そこへ後から参入した私たちに決まった理由は、知り合いの宅建士が法律上の特例措置を知っていたからです。
100人の宅建士が知らないようなことを彼は知っていた訳で、まさに100人に1人の専門性です。
宅建、不動産業界の専門性を知りたいなら、こちらの本が“超オススメ”です。
不動産の実務で知らないといけない事、言っちゃ悪いですが専門性の欠片もない上司や先輩が教えてくれない事、宅建の試験勉強、さらにダラダラ実務を経験しているだけでは絶対に身に付かないことが、詳しく丁寧に書かれています。
宅建試験のテキストと併読すれば、知識と実務が結び付くこと間違いなしです。
宅建・不動産の業界にも様々な分野があります。こちらの記事に不動産業界について書きました。ご参考に。
https://kotobuki.blog/1924/
宅建の求人実態については、こちらの記事をご覧ください。
https://kotobuki.blog/2391/
戦略②:伸びる領域で戦う
ビジネスの世界、どこで勝負するかが大切。
この10年、不動産業界の勝ち組が戦った3領域です
・東京市場
・インバウンド向け
・投資用物件
インバウンド領域は、外国人向けのホテルや旅館、商業施設や観光施設ですね。 また投資用物件とは、例えば民泊物件やシェアハウス、投資用マンションなど。
これからの時代に伸びる領域でいえば、まだ東京市場はしばらく伸びそうですね。ただし東京市場の場合、三井や三菱などの大手資本の系列がおさえている感が強いです。
とはいえ、大手が手を出さないようなニッチな領域もあるので、まずはその中で勝ちを拾っていくことでしょうか。
それ以外なら高齢化社会が進む中で、医療や介護分野は堅調に進むでしょう。インバウンド市場の回復はしばらく見込めないので、観光業界の目は国内にシフト、新たな観光資源やレジャー資源が開発されるでしょう。
またテレワークや在宅ワークが仕事のスタイルの本流になれば、郊外や地方へ再び目が向けられるかもしれませんね。
その③:副業として戦う
自動化が進み、宅建の仕事のパイが小さくなるなら、その波に積極的に乗ってみるものひとつです。ポイントは宅建一本に頼らないこと。
サラリーマン + 副業宅建
個人事業主・フリーランス + 副業宅建
不動産投資家 + 副業宅建
上記のような感じで本業を別に持てば、副業宅建は実に安定的な仕事です。
しかも約1時間程度の重要事項説明と契約業務をリモートで請け負えば、1件当り5000円程度の報酬が入ります。ライティング、動画編集などの他の副業コンテンツと比べれば、かなり効率的に稼げますよ。
宅建の副業事情については、こちらに詳しく書いています。
副業宅建は仕事マッチングアプリ「クラウドワークス」で探すことができます。
詳細・登録はこちら→→日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」
クラウドワークスの特徴や使い方は、こちらに書きました。
https://kotobuki.blog/580/
本業+副業宅建で収入を最大化するには、相乗効果を追求すること。
例えば「リモート宅建」の仕事を受けつつ、「不動産投資やマンション購入に関するサイトを作って、広告収入やアフィリエイト収益を得る」とかです。
例えばミライアス株式会社の不動産査定・売却サービス【ミライアスのスマート仲介】をサイトを使ってPR、新規売却査定の申込を獲得すれば成果報酬として15,000円の収入。捕らぬ狸の皮算用と言われそうですが、1日1件、月30件の査定申込を獲得すれば月収45万円です。
【ミライアスのスマート仲介】はじめ、アフィリエイトを始めるなら、まずはA8ネットなどアフィリエイト紹介サービスに登録する所からです。
何もインターネット副業によるものだけでありません。
例えば仕事を通じて関係の出来た不動産会社をスポンサーにし、「不動産開発(仕入)の提案」を行い、成果(販売)に応じた報酬を受け取ったり、その後の管理を代行したり。不動産会社も、最近はどんどん投資ファンド化しているので、期待通りのリターンが見込めるなら検討すると思います。
さらには、その経験を元に「自分で不動産投資を始めること」も。
経験を資産に変えて、数多くの収入ポイントを作る賢いやり方です。
とはいえ、全員が全員フリーランスや投資家で稼ぐのが最適というわけではないです。
人によっては、サラリーマンがむいている、家族とのんびりしたいという人も多いですし、全員が真似するのは危険だと思います。
まずは小さく、コツコツとお金を拾う感じ。
そのうちに自分にとっての最適なスタイルが分かってくるでしょう。
というわけで、宅建士の将来性について書きました。
「勝ち抜く戦略」なんて大上段に書きましたが、頑張りすぎて消耗するのも良くないですね。
無理しすぎると体によくないので、ほどほどに。
自分の好きなことに、好きなスタイルで出来るのが一番です。
今日はここまで。
https://kotobuki.blog/1325/
https://kotobuki.blog/2548/