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仕事研究

看護師や准看護師が児童発達支援管理責任者(児発管)になるには?

この記事は、いま注目を集める児童発達支援管理責任者(通称:児発管)に関心のある、看護師、准看護師に向けて書いています。

・看護師・准看護師として今も病院に勤めている

・過去に看護師・准看護師として勤務経験がある(ブランクあり)

上記のキャリアをお持ちの方なら、それぞれ児童発達支援管理責任者(児発管)への門戸は開いています。

この記事の内容
・児童発達支援管理責任者の仕事とは?
・児童発達支援管理責任者の仕事のやりがいや将来性は?
・看護師・准看護師が児童発達支援管理責任者になるには?
・児童発達支援管理責任者の仕事を探すには?
・看護師・准看護師が活躍できる児童福祉施設は?

主にこんな内容を書いています。

 

児童発達支援管理責任者(児発管)とは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの児童福祉法に定められた施設で、発達の遅れが気になる子どもとのかかわりを通して、施設での療育をリードする役割の人をいいます。

2019年10月1日より幼児教育無償化が始まりした。この無償化の対象に児童発達支援の教室も含まれています。

無償化対象となり、にわかに注目を集める児発管の仕事について解説します。

私自身は、人事系のコンサルタントとして20年のキャリア、その後は一般の会社で役員をしており、介護・児童福祉部門を統括しています。

児童発達支援管理責任者の仕事を、事業者側から専門的に見ている立場です。

 

児童福祉施設とは

児童福祉の事業所は、発達の遅れが気になる子供を対象としています。

日常生活をおくるのに必要な基本動作や知識などを習得、学校の中で集団生活や社会生活に適応できるよう通所施設などにおいて行う、児童福祉法に基づく支援活動です。

主に、未就学児童を対象とする「児童発達支援」、小学生から高校生までを幅広くカバーする「放課後等デイサービス」が圧倒的に多く、その他「居宅訪問型児童発達支援」「医療型児童発達支援」「保育所等訪問支援」等、より専門特化されたサービスがあります。

国(厚労省)のサポートにより、障害をもった子どもとその家族は、利用料の1割負担でサービスを利用できます。

しかも児童発達支援は幼児教育無償化の対象となるので全額無料です。

令和元年時点で、全国に児童発達支援が6,846事業所、放課後等デイサービスが14,046事業所あります。兼業事業所が含まれるので、両者を合わせると16,000~17,000事業所程度でしょうか。

 

増え続ける発達障害児童

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、その他これに類する脳機能の障害であり、症状が通常低年齢において発現するものと定義されています。

 

その症状は一人ひとりで異なります。

「じっとしていられない」「文字を読むことが難しい」「言葉の遅れ」「周りの子どもとコミュニケーションが取れない」などの症状が主に挙げられます。

発達障害児童は近年増え続けていると言われ、小学校1年生の10%が該当というデータも。40人学級に例えるとクラスに4人の割合です。(下記は厚生労働省の資料)

 

このあたりは、どこで線引きをするのか、国の基準で異なってきます。基準次第では20%を超えるヨーロッパの国もあったりします。

増加の背景として、アスペルガーやADHDが社会で認知されだしたという事も関係するでしょう。

一昔前なら、「ちょっと変わった子」で片付けられていた子が、今から思えば発達障害だったのでしょう。

特に最近は、芸能人や有名人が発達障害であることをカミングアウト。

芸術家や起業家に発達障害が多いとも言われており、その特性を活かすことで特別な才能が開花する事から、以前よりポジティブに受け入れられているようです。

 

日本の芸能界では小島慶子さんや栗原類さん、経済評論家の勝間和代さんは、自身が発達障害であることを公表しています。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさん、スピルバーグ監督も発達障害と。トム・クルーズさんは学習障害の一種で映画の台本が読めませんし、発明王エジソンや、音楽家のモーツァルト、物理学者アインシュタインも発達障害だったと言われています。

 

発達障害には専門的な書籍が出ていますので、興味のある方は、研究してみてはいかがでしょう。

【タイトル】 薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方

【内容】左右の脳のつながりを取り戻せば、発達障害は治る!オックスフォード、ハーバードも注目する、治癒率80%を超える新しい家庭療法「ブレインバランスセラピー」

 

看護師・准看護師がなれる児発管って、どんな仕事

なかなか想像がつかないのが児発管の仕事。

実際のお仕事内容を、かいつまんで説明します。

児童発達支援の大手コペルプラスの求人情報から詳しく見てみましょう。

≪コペルプラスが目指す療育≫

当社では、「訓練」ではなく「楽しい遊び」を通じて、子どもたちが自発的に取り組む姿勢を身につけ自ら能力を伸ばすことを目指しています。子どもたちの可能性を広げていく指導員として、日々のレッスンやご両親への応対などをお任せします。

<入社後まずは…>

およそ2ヶ月間、導入研修やOJT研修を受けていただきます。模擬レッスンやビデオ研修、本部での専門教育などを通して、子どもへの接し方や教え方、教材について学びましょう。その後児発管としての業務研修を受けていただきます。また、年2回の全体研修があるので、安心して日々のレッスンに取り組めます。

<児発管の具体的な仕事内容>

子どもの個性に合わせた個別支援計画の作成および管理、指導員が行うレッスンへのアドバイスなどをお願いします。

⇒(指導員が行う)レッスン内容について

子ども1人に対して、1回のレッスンは60分。1日3~5コマを担当していただきます。基本的に1対1の個別レッスンで保護者の方にも一緒に授業を受けていただきますので、子ども一人ひとりの状況にあわせたレッスンに集中できます。

レッスンは大量の教材を使いながら、ショーのように行ないます。たとえばラップにあわせて歴史を覚えたり、歌で47都道府県を学んだり、安全な釘に輪ゴムをはめたり。「教材は一回使用したら、同じものを使用しない」という方針です。

*コペルプラス求人情報(エン・ジャパン)より抜粋、一部加筆

 

ひと言でいえば、教室長とご家庭へのコンサルティングが児発管の仕事。

補足すると個別支援計画は、子どもやご家庭との関わりを通し、子どもの発達状況を把握、一定期間の後にどのような姿になっているか目標を立て、具体的なアクションプランを明文化したものです。

保育士求人【ジョブメドレー】で検索すると、全国で3000件を超える児童発達支援管理責任者の求人がありました。(2022年5月時点)

お住まいの近くでも求人があるか、チェックしてみましょう。

 

児発管のやりがいは看護の仕事とどう違う?

児童発達支援管理責任者の仕事のやりがいは、高度な専門知識をベースに障害をもった子供たちが自信をもって生きていけるサポートができることです。

療育を通じて、子どもの目がキラキラと輝き、会うたびに成長を実感できる喜びは、何物にも変えられないものです。

 

もうひとつのやりがいは、ゆとりのある仕事環境。

国が求める人員配置の基準は定員10名に対し、児童発達支援管理責任者1名、有資格者1名(看護師や保育士、教員)、その他に1名が最低基準。

制度は利用者に手厚く定められていて、登録され決まった相手に対し、マンツーマンをベースに行われる療育は、働く側にとっても専門性の高い仕事にじっくりと取り組める、素晴らしい環境です。

毎日、多くの患者さんが来院し、まさに矢継ぎ早に業務をこなしていく医療の現場とは、全く異なるものです。

また児発管の月給は30万円以上が相場。看護師の給与水準と比べると若干の見劣りはしますが、なり手が少なく、多くの事業所が求めているため、上昇傾向にあります。

基本報酬は介護業界を大きく上回り、訪問看護業界等と同等水準にあるので、その分、給与水準も高くなります。

看護師 准看護師 児発管
月給 338,400円 288,000円 300,000円~
賞与 857,500円 674,100円
年収 4,918,300円 4,130,100円

*看護師・准看護師の平均年収は「令和2年賃金構造基本統計調査(厚労省)」より

 

給与水準が高い上に、完全週休2日制、残業ほぼゼロの事業所が多く、また職住近接のため、子育て中の女性にも働きやすい職場環境です。

 

看護師・准看護師から児発管になるには?

看護師・准看護師から児童発達支援管理責任者になるには、要件は2つあり、1つは実務経験、もう1つは研修受講です。

両者の条件は、全く同じで資格による違いはありません。

児発管に必要な実務経験

看護師、もしくは准看護師の資格に係る業務に通算5年以上従事した期間があり、かつ相談支援、あるいは直接支援の業務が通算3年以上あれば、児童発達支援管理責任者に必要な実務経験を満たしています。

つまり簡潔に言えば、看護師・准看護師として通算5年以上の看護業務、あるいは准看護業務に従事すれば良いことになります。

なお、ここでいう実務経験1年とは、業務に従事した日数が1年当り180日以上であることを言います。

5年以上の実務経験とは、業務に従事した期間が5年以上あり、かつ実際に業務に従事した日数が合計900日以上であることを言います。

 

児発管に必要な研修受講

実務経験を満たしているだけでは児童発達支援管理責任者としては働けません。

更に、研修受講と児発管業務の経験(OJT)が必要です。

 

これまで病院で働いてきた方なら、ほとんどの方が、この研修は受講していないでしょう。

研修は都道府県毎に、年1~2回開催されていて予約制です。

したがって、仮にいま児発管になることを決意しても、実際に研修受講できるのは、早くて半年、長ければ1年以上先になります。

研修スケジュールだけでも、早めのチェックがお薦めです。

 

2020年の研修スケジュールは、こちらの記事から確認してください。

https://kotobuki.blog/128/

ちなみに各県の開催時期は、毎年同じタイミングのようですよ。

 

児発管になるまでの方法

では研修を受講するまで、どうするか?

・今の職場で働きながら研修受講の機会をうかがう

・児童福祉施設に転職、働きながら研修受講を目指す

いずれかの方法を選択することになります。

 

看護師・准看護師として今もお勤めの方

看護師・准看護師として病院にお勤めの方は、仕事を続けながら研修受講の機会を伺いましょう。ただし研修受講に際しては、職場の推薦書が必要となるかと思います。難しいようなら、転職が選択肢に入ります。

看護師・准看護師としての経験が1年以上あるなら基礎研修の受講は可能です。

先述の通り、基礎研修は各県で年1~2回の開催、チャンスは限られています。

コロナ期間中は県を超えての研修受講が原則不可となっていました。コロナの行動規制が解除された後には、他県での受講も可能になるかもしれません。

このあたりは、お住まいの県だけでなく、近隣の県の情報もこまめにチェックしておきましょう。

基礎研修受講後、児童発達支援管理責任者(候補)として応募します。

これまでの経験と違う、新たな知識やスキルも必要とされるので、病院を退職し転職して児発管を目指す方もいるようです。

 

過去に看護師・准看護師として経験のある方

医療の現場から離れブランクのある方なら、転職活動と研修受講を同時に進めましょう。

通算5年以上の実務経験があるなら、時期に関係なく要件はクリアするので、あとは研修受講です。

児童発達支援や放課後等デイサービス等の児童福祉施設には、法律で定められた人員基準があり、児童発達支援管理責任者以外に1名以上の資格者の配置が必要であり、更に看護資格者の配置は加算対象(売上アップ)です。

ちょっと言い方は悪いですが、看護師の免許をお持ちの方は「喉から手が出るほど欲しい人材」です。

将来の児童発達支援管理責任者として、資格者(児童指導員といいます)で応募します。

ブランクの長さに関係なく、歓迎されるでしょう。

 

児発管や児童指導員の仕事を探すには?

児童発達支援管理責任者や児童指導員(児発管候補)の仕事は求人サイトから探すことが出来ます。

一般の求人サイトからでも見つけることは出来ますが、保育士向け専門サイトの方が掲載数は多いようです。

看護師に方にとっては、保育士サイトはちょっと違和感があるかもしれませんが、保育士向けサイトが最も児発管の情報が充実していますし、看護師が保育士向けサイトから応募したとしても、不採用になることはありません。

なお、児発管で求人サイトを検索すると、「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の事業所がヒットします。

違いは、未就学児童を対象としているのが「児童発達支援」、小学生から高校生までを対象としているのが「放課後等デイサービス」です。

また「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」を兼業で行う教室も多くあります。

国内最大の保育求人サイト「ジョブメドレー」で、児発管や児童指導員の募集掲載数を調べてみました。(2022年5月時点)

 

ジョブメドレー 

医療介護保育に特化した求人を展開するメドレーが提供する、求人案件数日本最大級の保育士専門求人サイトです。全国の求人情報が掲載され、かつ児童福祉施設の情報が豊富です。

なんと全国3,000件以上の児発管の求人情報、全国7,000件以上の児童指導員の求人情報が掲載されていて、ダントツの掲載数トップです。ジョブメドレーの上手な使い方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

https://kotobuki.blog/2434/

 

看護師が活躍できる児童福祉施設とは?

転職先として、どのような施設を選択するのかは、個々の考えや、仕事の家庭とのバランス、お住まいのエリア等にもよるので、一概には言えませんが、看護師・准看護師のキャリアや専門性を活かした転職をしたいものですね。

お住まい近くの児童発達支援・放課後等デイサービス

児童福祉施設の90%以上が、児童発達支援、もしくは放課後等デイサービスです。

お住まいの近くで職場を探すなら、転職先は自ずと上記2つに絞られるでしょう。

まず転職し、児発管の資格をとった上で、更なるキャリアアップを目指して、より専門性の高い事業所へ移籍するのも1つの選択です。

その一方、国の方針としては「医療的ケア児に対する支援の充実」に力を入れたいようです。

どの自治体の児童福祉計画を見ても、まるで判で押したように「医療的ケアの充実」がいの一番に上がっています。

需要と供給のアンバランスさが顕著、今は医療的ケアに対応できる事業所が少ないです。

国としても、ニンジン(インセンティブ=加算)をぶら下げ、事業所の医療的ケアへの対応を求めている現状、児童福祉の業界で、看護師・准看護師のニーズは非常に高いです。

まさに「超売り手市場」です。

 

より専門的な施設へ転職

児童福祉施設の中で、より医療的ケアに特化した事業所は、次の通りです。

児童発達支援センター

通所支援のほか、身近な地域の障害児支援の拠点として、「地域にいる障害児や家族への支援」、「地域の障害児を預かる施設に対する支援」を実施するなどの地域支援を実施します。

 

医療型児童発達支援センター

児童発達支援センターのうち、より医療的ケアに特化した施設です。

 

居宅訪問型児童発達支援

重症心身障害児など重度の障害児等であり、通所支援を受けるために外出することが著しく困難な障害児について、発達支援が提供できるよう、居宅を訪問して日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与等の支援を行うサービスです。

 

医療型障害児入所施設

障害児を入所させて保護し、日常生活の指導、独立自活に必要な知識技能の付与及び治療を行うことを目的とした施設です。

 

これら施設は、より医療的ケアに特化したサービスを提供することとなり、高度に専門特化しています。

転職する上では、施設の数が少なく、マッチする求人情報もなかなか入りません。

例えば、居宅訪問型児童発達支援の場合、全国に事業所がそもそも52件、最も掲載求人数の多いジョブメドレーで検索しても、該当求人は24件しかありませんでした。

 

ジョブメドレーなら、事前登録した情報を元に、メールやLineでお知らせを送ってくれる機能があります。無料の会員登録が必要です。

まず児発管の資格取得を目指しつつ、気長に情報を待つのも一つです。

 

大手の障害福祉サービス企業

株式会社LITALICOは「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げて、就労支援や児童発達支援、放課後等デイサービスなどの教育サービスを提供する東証一部上場企業です。

幼児教室として25年以上の実績がある株式会社コペル(非上場)の児童発達支援教室コペルプラスは、リタリコ同様に全国で約150教室を運営する大手企業です。

両社のような大手企業は、将来的にサービスの幅を広げていく方向にあるので、医療的ケアの分野にも関心が高いはずです。

大手企業の新サービスの立ち上げから従事すれば、やりがいも大きいのではないでしょうか?

 

こちらはリタリコ代表、長谷川敦弥氏の書籍です。

【タイトル】 発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。

【内容】発達に課題のある子どもたち8000人が通い、さらには待機児童が何千人もいるという人気の教室「LITALICOジュニア」。著者は「教室に来る子はみな独創的で、将来の可能性を感じさせる子たち」と語る。本書では、発達に凹凸のある子の伸ばし方、また、多様な人が活躍できる「障害のない社会」のつくり方までを提唱していく。

 

リタリコ、コペルプラスの求人は、いずれもジョブメドレーで募集しています。

 

未経験から児発管の仕事は大丈夫?

医療現場の経験が長い看護師の方なら、初めての児童福祉サービス「未経験だけど大丈夫かな?」そんな心配が出てくるかも。

そんな心配なら、今回紹介したような大手企業への転職がおすすめです。

大手をおすすめする理由①
大手は教育・研修体系がしっかりしていること。コペルプラスなら入社から2ヶ月間の研修を模擬レッスンやビデオ研修、本部での専門教育などを通して学びます。

大手をおすすめする理由②
研修終了後は既存の教室に配属、児発管候補として働きます。先輩児発管から指導を受けつつ、良い部分を真似て吸収します。

こういう事が出来るのも事業所の数が多く、受け入れ環境の整った大手だからこそです。

 

まとめ

発達の遅れが気になるお子さんに向けて、国が支援する児童福祉サービス。

現在、ご父兄からの注目度と比べると、サービスの担い手となる先生が全然不足しているようです。

児童発達支援管理責任者(児発管)、児童指導員という児童福祉のプロとしての道が広がるこの仕事、要チェックです。

 

児童発達支援の求人情報は、

>>保育士求人【ジョブメドレー】 

こちらをどうぞ。

 

(参考)

>>児童発達支援ガイドライン(厚生労働省)

>>児童発達支援管理責任者(児発管)の将来性について