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仕事研究

介護福祉士や介護士が児童発達支援管理責任者(児発管)になるには?

今後のキャリアについて考えている介護士の方

介護業界の経験を積んできた。介護福祉士の資格も持っている。将来、このままで本当にいいのか、最近は考えることも多い。やり直しの効かない年齢に入りつつあり、転職で失敗はしたくないし、給料も今以上には欲しい。出来る事なら、これまでの経験や資格が活かせればと思うけど、果たしてそんな仕事が本当にあるのだろうか?

こういった疑問に答えます。

 

 

本記事の内容

・障害児福祉の業界と児童発達支援管理責任者の仕事

・介護士が児童発達支援管理責任者になる方法

 

この記事を書いている私は、人事関係のコンサルティング会社で20年、現在は事業会社で20施設を運営する介護事業部門の統括をしています。

また障害児通所支援事業の立ち上げコンサルにかかわり、この業界の社会的意義や事業の成長性を目の当たりにしてきました。

 

介護業界から未経験の障害児福祉の世界へ転職する手順について、本記事で深掘りしつつ業界全般の話も交えていきたいと思います。

5分くらいで読めますので、しばしお付き合いください。

 

児童発達支援管理責任者(通称:児発管)とは

初めて、この言葉を聞く方に説明を少し。

児童発達支援管理責任者(児発管)とは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの児童福祉法に定められた障害児通所支援施設で、発達の遅れが気になる子どもとのかかわりを通して、施設での療育をリードする役割の人をいいます。

 

障害児通所支援とは、日常生活をおくるのに必要な基本動作や知識などを習得、学校の中で集団生活や社会生活に適応できるよう通所施設などにおいて行う、児童福祉法に基づく支援活動です。

国(厚労省)のサポートにより、障害をもった子どもとその家族は、利用料の1割負担でサービスを利用できます。

しかも2019年10月より、幼児教育無償化の対象となるので3歳以上の未就学児は全額無料です。

 

増え続ける発達障害児童

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、その他これに類する脳機能の障害。

通常低年齢において発現するものと定義されています

 

その症状は一人ひとりで異なります。

「じっとしていられない」「文字を読むことが難しい」「言葉の遅れ」「周りの子どもとコミュニケーションが取れない」などの症状が主に挙げられます。

発達障害児童は近年増え続けていると言われ、児童の10%が該当というデータも。

40人学級に例えるとクラスに4人の割合です。

このあたりは、どこで線引きをするのか、国の基準で異なってきます。

基準次第では20%を超えるヨーロッパの国もあったりします。

 

増加の背景のひとつとして、アスペルガーやADHDが社会で認知されだしたという事も関係するでしょう。

一昔前なら、「ちょっと変わった子」で片付けられていた子が、今から思えば発達障害だったのかも。

特に最近は、芸能人や有名人が発達障害であることをカミングアウト。

日本の芸能界では小島慶子さんや栗原類さん、経済評論家の勝間和代さんは、自身が発達障害であることを公表しています。

 

芸術家や起業家には発達障害が多いとも言われており、その特性を活かすことで特別な才能が開花する事から、以前よりポジティブに受け入れられているようです。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさん、スピルバーグ監督も発達障害と。

トム・クルーズさんは学習障害の一種で映画の台本が読めませんし、発明王エジソンや、音楽家のモーツァルト、物理学者アインシュタインも発達障害だったと言われています。

 

反面、「できること・できないこと」がハッキリしているため、周囲から理解されず、生き辛さを感じる人も多く、社会の中で孤立したり、何事にも自信が持てず、時に鬱病などを併発したりするケースが報告されています。

 

発達障害には多くの書籍が出ています。

興味のある方は、研究してみてはいかがでしょう。

私のおすすめ3冊です。

・「発達障害」という個性 AI時代に輝く ― 突出した才能をもつ子どもたち

・薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方

・育てにくい子にはわけがある―感覚統合が教えてくれたもの (子育てと健康シリーズ)

 

児発管って、どんな仕事

なかなか想像がつかないのが児発管の仕事。

実際のお仕事内容を、かいつまんで説明します。

児童発達支援の大手コペルプラスの求人情報から詳しく見てみましょう。

 

≪コペルプラスが目指す療育≫

当社では、「訓練」ではなく「楽しい遊び」を通じて、子どもたちが自発的に取り組む姿勢を身につけ自ら能力を伸ばすことを目指しています。子どもたちの可能性を広げていく指導員として、日々のレッスンやご両親への応対などをお任せします。

 

<入社後まずは…>

およそ2ヶ月間、導入研修やOJT研修を受けていただきます。模擬レッスンやビデオ研修、本部での専門教育などを通して、子どもへの接し方や教え方、教材について学びましょう。その後児発管としての業務研修を受けていただきます。また、年2回の全体研修があるので、安心して日々のレッスンに取り組めます。

 

<児発管の具体的な仕事内容>

子どもの個性に合わせた個別支援計画の作成および管理、指導員が行うレッスンへのアドバイスなどをお願いします。

子ども1人に対して、1回のレッスンは60分。1日3~5コマを担当していただきます。基本的に1対1の個別レッスンで保護者の方にも一緒に授業を受けていただきますので、子ども一人ひとりの状況にあわせたレッスンに集中できます。

レッスンは大量の教材を使いながら、ショーのように行ないます。たとえばラップにあわせて歴史を覚えたり、歌で47都道府県を学んだり、安全な釘に輪ゴムをはめたり。「教材は一回使用したら、同じものを使用しない」という方針です。

*コペルプラス求人情報(エン・ジャパン)より抜粋、一部加筆

 

ひと言でいえば、教室長とご家庭へのコンサルティングが児発管の仕事。

補足すると個別支援計画は、子どもやご家庭との関わりを通し、子どもの発達状況を把握、一定期間の後にどのような姿になっているか目標を立て、具体的なアクションプランを明文化したものです。

 

児発管のやりがいは、介護の仕事と何が違う?

子どもの成長を実感できる喜び

児童発達支援管理責任者の仕事のやりがいは、高度な専門知識をベースに障害をもった子供たちが自信をもって生きていけるサポートができることです。

人間の脳は6歳までに大半が創られると言われます。

欧米諸国で義務教育の開始年齢を早めているよう、早期教育の重要性は世界中で認識されています。

レッスンを通じて、子どもの目がキラキラと輝き、会うたびに成長を実感できる喜びは、何物にも変えられないものです。

 

保護者との信頼関係、高いプロ意識

障害のある子どもを持つ保護者は、彼らならではの悩みを持っています。

保護者に寄り添い、同じゴールに向かって伴走していく児発管の仕事。

その専門性や献身性で、保護者からは強い信頼を寄せられます。

感謝、頼りにされることが多い仕事、役に立つ実感が、仕事への責任感とプロ意識を作っていきます。

 

ゆとりある仕事環境

国が求める人員配置の基準が、利用者に手厚く定められていて、マンツーマンをベースに行われるレッスンは、働く側にとっても専門性の高い仕事にじっくりと取り組める、素晴らしい環境です。

 

児発管の月給は30万円以上が最低ライン

介護士の平均給与と比べると高額になります。

なり手が少なく、多くの事業所が求めている職種のため、給与水準は上がり続けており、月給30~40万円が業界相場です。

 

介護職より児発管になるには?

介護職から児童発達支援管理責任者になるには、要件は2つあり、1つは実務経験、もう1つは研修受講です。

 

児発管に必要な実務経験

実務経験は、細かく定義されていますが、ここでは介護業界に関係する3つのルートを紹介しておきます。

 

相談支援業務ルート

地域生活支援事業、老人福祉施設、介護老人保健施設、地域包括支援センター、障がい者支援施設などで相談支援業務に5年以上従事すれば、児発菅の実務用件はクリアします。

ただし、うち3年以上は、児童または障がい者に対する相談支援業務である事が必要です。

介護士から児発管の実務用件1

 

介護業務(直接支援業務)ルート

介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)、あるいは社会福祉主事任用資格を持ち特別養護老人ホームやデイサービス等の老人福祉施設や、訪問介護等の老人居宅介護事業で、介護業務(直接支援業務)に5年以上従事すれば、児発菅の実務用件はクリアします。

ただし、うち3年以上は、児童または障がい者に対する直接支援業務である事が必要です。

また、資格のない場合は通算8年以上の業務経験が必要です。

 

 

資格者ルート

国家資格等が必要な業務に通算5年以上の経験があれば、児童発達支援管理責任者の実務経験の要件を満たします。

ただし、うち3年以上は相談支援業務、直接支援業務である事が必要です。

 

介護分野の国家資格は具体的に、

・社会福祉士

・介護福祉士

・言語聴覚士

・理学療法士

・作業療法士

などが、これに当たります。

 

具体例をあげれば、例えばこんな人が対象です。

・短大卒業後、保育士として3年間働いた後、介護施設で10年勤務している

・高齢者向けに3年、障害者向けに3年の相談員の経験がある

・高齢者施設でサビ管として既に働いていて、かつ障害者向けの実務経験が3年以上ある

その日との実務経験が児発管の要件を満たしているかは、行政の判断になります。

また、以前の勤務先から発行される実務経験証明書が必要です。

 

児発管に必要な研修受講

実務経験を満たしているだけでは児童発達支援管理責任者としては働けません。

更に、研修受講と児発管業務の経験(OJT)が必要です。

児発管の基礎研修は、サービス管理責任者基礎研修と同じです。介護業界でお勤めの方なら、ご存知の方、既に申込済の方もいらっしゃるかも。

既に基礎研修を受講済の方なら、児発管業務の一部に従事(OJT)することが可能です。

研修は都道府県毎に、年1~2回開催されていて予約制です。

したがって、仮にいま児発管になることを決意しても、実際に研修受講できるのは、早くて半年、長ければ1年以上先になります。

研修スケジュールだけでも、早めのチェックがお薦めです。

 

2022年の研修スケジュール(関東・関西・東海)は、こちらの記事から確認してください。

https://kotobuki.blog/3517/

https://kotobuki.blog/3508/

https://kotobuki.blog/3524/

 

では研修を受講するまで、どうするか?

・今の職場で働きながら研修受講の機会をうかがう

・関連業種に転職、働きながら研修受講を目指すか

いずれかの方法を選択することになります。

 

これまでの経験とは違う、新たな知識やスキルも必要とされるので、先に転職して児発管を目指す方法を、多くの方が採るようです。

研修受講に際しては、職場の推薦書が必要となるかと思います。難しいようなら、転職が選択肢に入ります。

相談支援業務・直接支援業務なら通算3年から、国家資格なら通算1年から、基礎研修の受講は可能です。

例えば、デイサービスで3年以上の実務経験がある初任者研修受講者なら、このタイミングでキャリアチェンジを考えるのもタイミングです。

*転職後の業務も実務経験に通算されます。

 

介護士が児発管・児童指導員の求人を探すには?

児発管や児発管を目指す方(児童指導員)の仕事は、求人サイトから探すことが出来ます。

転職先としては、「児童発達支援」か「放課後等デイサービス」になるでしょう。

「居宅訪問型児童発達支援」や「保育所等訪問支援」等、それ以外の障害児福祉のサービスもありますが、教室数は圧倒的に、この2つがメインです。

探し方ですが、一般の求人サイトや職安からでも見つけることは出来ますが、保育士向け専門サイトが掲載数は多いようです。

「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の違いですが、未就学児童を対象としているのが「児童発達支援」、小学生から高校生までを対象としているのが「放課後等デイサービス」です。

児発管や児童指導員の求人は、質量共にジョブメドレーが圧倒的です。

 

ジョブメドレー 

「ジョブメドレー」は、医療介護保育に特化した求人を展開するメドレーが提供する、求人案件数日本最大級の保育士専門求人サイトです。

介護士の方なら、ご利用になられた経験もあるのではないでしょうか?

なんと全国8000件近い児発管の求人情報(2022年5月時点)が掲載されていて、ダントツの掲載数トップです。

会員登録(無料)しておけば、ご希望の条件にあった求人情報やスカウトメールが届きます。

 

■登録がまだの方は、こちらから(無料)

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介護士が活躍できる児童発達支援・放課後等デイサービスの主な教室

リタリコジュニア

株式会社LITALICOは「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げて、就労支援や児童発達支援、放課後等デイサービスなどの教育サービスを提供する東証一部上場企業です。

教室数は全国100教室、国から支援を受ける福祉サービスと共に、保険外で児童が通う教室運営も行っています。

*リタリコジュニアHP

 

コペルプラス

幼児教室として25年以上の実績がある株式会社コペルの児童発達支援教室です。

リタリコ同様に全国で約150教室を運営しています。コペルプラスは、2000を超えるオリジナル教材を使って、自己肯定感を大切に、子どもの内なる能力を引き出します。

*コペルプラスHP

 

こぱんはうす さくら

オークニ商事株式会社が運営する、こぱんはうすさくらは、児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所です。全国で約80教室、運営しています。

*こぱんはうすさくらHP

いずれの教室も、ジョブメドレーに求人が掲載されていたので、要チェックです。

ジョブメドレーについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

https://kotobuki.blog/3424/

 

最後にまとめ

発達の遅れが気になるお子さんに向けて、国が支援する障害児福祉の領域。

現在、ご父兄からの注目度と比べると、サービスの担い手となる先生が不足しているようです。

児童発達支援管理責任者(児発管)という児童福祉のプロとしての道が広がるこの仕事、要チェックです。

 

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(参考)

>>児童発達支援ガイドライン(厚生労働省)