これから就職活動を始める方や、M&A業界、日本M&Aセンターへの転職を検討される方に対して情報発信しています。
日本M&Aセンターの年収・給与・ボーナス・賞与の高い理由、M&Aアドバイザーの仕事内容や激務度、この仕事に就く上での魅力やデメリット、今後の動向について迫ります。
日本M&Aセンターへの就職・転職の検討材料に活用ください。
この記事を書いている私は、人事コンサルタントとしてキャリア20年、その後、事業会社で役員をしています。コンサルタント時代は、同社と仕事を行うパートナーの関係にありました。今の会社へ転職後は、同社より度々、企業買収の提案を受けています。
本記事に書いていること
・日本M&Aセンターの社員の平均年収は1,413万円(35歳)
・日本M&Aセンターの年収が高い理由
・M&Aコンサルタントの仕事内容と激務
日本M&Aセンターとは

株式会社日本M&Aセンターは、企業(特に国内の中堅中小企業)の合併・買収の仲介、簡単言えばM&Aを仲介する会社です。
税理士や会計士が中心と1991年設立、2006年マザーズ上場、翌2007年には東証一部へ市場変更しています。
直近(2020年3月期)の業績は、売上高320億円、経常利益140億円。なんと売上の40%以上が利益として残ります。
その結果、自己資本比率76.2%、純資産272億円を積み上げました。仮に2年間売上ゼロだとしても会社が存続できるレベルです。
日本M&Aセンターは高年収で有名
日本M&Aセンターの名前が有名になったのは、東洋経済オンラインで毎年公表されている「平均年収が高いトップ500社ランキング」です。
直近の有価証券報告書によると、社員の平均年収1,413万円(平均年齢35.1歳、平均勤続3.8年)です。
2019年版では全国23位ですが、常時コの手のランキングには顔を出していて、給与に注目する就活生や、転職を考えている人の間で話題にのぼります。
日本M&Aセンターの年収はなぜ高い?
年収はなぜ高いか?ひと言でいえば、会社が儲かっているからですが、単に儲かっているだけではこれだけの年収になりません。
大事なことは、「少人数で儲けている」ことです。
日本M&Aセンターのコンサルタントの人数は390名。(2020年3月時点)
M&Aコンサルタント1人当たりの売上 約8600万円
この8600万円が、どれほど凄いのか。
お恥ずかしい話ですが、私がコンサルタント時代に「MAXで働いた年」の売上4000万円と比較すると一目瞭然です。
ちなみに、この4000万円の年
・コンサルティング 担当12社
・年間 360日仕事
・不眠不休で最高48時間の連続労働
でした。ほぼ廃人です。
でも、これはコンサル業界では標準的な「あるある」の姿です。
4000万円で廃人になる仕事を、なぜ8600万円も出来るのか?
一般コンサルタント、しかも上位クラス(私)の、2倍以上稼ぐ訳です。単に能力や頑張りだけの問題でないのは、お分かり頂けるでしょう。
結論は
コンサルティングの報酬単価が高い
からであり、なぜ高単価か?、つまりは日本M&Aセンターの年収がなぜ高いか?と言えば、
・M&Aが世の中から必要とされている
・日本M&Aセンターの競争相手が少ない
に他ならないです。
日本M&Aセンターは、稼げる環境で勝負しています。
日本M&Aセンターの事業の特徴
「社会で必要」「競争相手が少ない」から、日本M&Aセンターは年収が高いと書きました。
日本M&Aセンターの事業の特徴のひとつに、「中堅中小企業のM&Aに特化している」ことが挙げられます。

従来、M&Aは大企業が用いる手法でした。
新聞やテレビで紹介されるM&Aのニュースは、例えば「ソフトバンクとlineが合併」「さくら銀行と住友銀行が合併して三井住友銀行となった」など、誰もが知っている企業ばかり。
以前から大企業のM&Aは活発で、大手銀行や投資会社が間に入って巨大M&Aをまとめて来ました。
一方、国内企業の90%以上は中堅中小零細企業。しかも、その大半はオーナー(同族)経営で、その多くは継ぐ人がいない。
この中小オーナー企業向けのM&Aに最初に目をつけたのが日本M&Aセンターです。
ところが、最初はオーナー経営者の誰もがM&Aなんて考えていない。
「手塩にかけて育てた会社を売れとは何事か!」そんな中から事業を始めた訳で、世の中で認められるまでが並大抵ではありません。
日本M&Aセンターは、全国の信用金庫や税理士、コンサルタントなどと連携、中小企業の現場を回って草の根で啓蒙活動を続けていったのです。
そうした中で少しづつ、またオーナー経営者が高齢になるにしたがい、「息子が継がなくてもよい」「社員が幸せになってくれるなら売ることも」「早めにリタイヤして自分の好きなことを始めたい」というような意識の変化があり「中小企業のM&Aなら日本M&Aセンター」という信頼を他社に先駆けて築いていったのです。
これが「競争相手が少ない」理由です。
そして、競争相手が少ないことで、M&A事業が成功するのに大切なたった一つ事「上質な売却案件(企業)」を独占できたのです。
上質な案件とは
・成長市場で事業をしている
・自社独自の技術力や商品力を持っている
・手ごろな価格で買収できる
「中堅中小企業に特化して、上質な案件を全国から集める仕組みを他社に先駆けて作れたこと」、これが日本M&Aセンターの成功要因です。
後は、こうやって集めた売却案件を、寝る間を惜しんでコンサルタントが売りまくる。
その結果が、年間1.4億円の売上と、1413万円の年収です。
年8600万円の売上を日本M&Aセンターはどのように作っているのか?
日本M&AセンターのM&A仲介成約件数は770件です。
また期末時点の保有案件が1100件。これは、現在売りにだされている案件の数という意味です。
日本M&Aセンターの売上は、ざっくり言えば
売上=(募集開始時の)着手金+(M&A成立時)手数料
で計算されます。
【日本M&Aセンターの料金体系】
・着手金 100万円前後(規模によります)
・手数料 譲渡企業の時価総資産額に手数料率をかけたもの
5億円以下・・・・・・・・5%
5億円超~10億円以下・・・4%
10億円超~50億円以下 ・・3%
50億円超~100億円以下・・2%
100億円超・・・・・・・・1%
ちなみに、日本M&Aセンターの場合は、売手・買手の双方から手数料を徴収します。
そこで推計です。
M&A成約1件あたり3,545万円の売上です。
【売上計算根拠】
{年間売上284億円-(1,100件×100万円)}÷770件=約3,545万円
売り買い双方からの手数料なので、単価でいえば半分の1,772万円。
1,772万円の手数料を5%で割り戻すと、3.5億円規模のM&Aが、日本M&Aセンターの平均的なM&Aの姿です。
3.5億円のM&A、なかなかイメージがつかないと思います。
従業員数十人規模の中小企業をイメージしてもらえれば間違いないです。
次に1人のコンサルタントの仕事量です。
年間770件成約、1100件の案件化から割り出せば、年2件程度のM&A成約と、同じく年3件以上の案件化ということ。
1人が年間3件の案件を作ると、おそらくその10倍の30件の引き合い対応は必要です。
実は引き合いですが、「売り出しても成約しない」「売り手が途中で気が変わる」などの理由により、没になるケースが多いのです。
少しイメージいただけたでしょうか?
1人のM&Aコンサルタントが年間5件程度の案件を担当するのが、仕事のイメージです。
ただし、これはあくまで机上の計算。
業界経験のある者なら分かります。
この業界、人によって成果に圧倒的な差が出ます。
平均8600万円の売上なら、トップは3億、あるいはそれ以上。
平均勤続年数3.8年が、裏付けのデータとなるでしょう。
この辺は仕事の中身の所で後述しています。
日本M&Aセンターのコンサルタントの仕事とは?

M&Aコンサルタントの仕事とは、どのようなものでしょう。
日本M&Aセンターの公式サイトを参考に、M&Aコンサルタントの観点よりまとめました。
(注:仕事内容は、日本M&Aセンター固有の状況をお伝えしているのでないことを念のため)
M&A相談
年間に50件くらいでしょうか? 単に相談を受けるだけでなく、事前診断による株価算定(要は幾らで売れそうか?)まで含まれます
M&A案件化
売り手からすると最も重要な場面。契約する・しないで二転三転。夜中や休日に呼び出されたりすることもざらです。
M&A戦略立案
売却企業の評価、提案レポートの作成は、数百ページに及びことも。耳慣れない業界用語や慣習に悪戦苦闘することもあれば、売却額の値付けで、オーナー経営者と揉めることも。レポート作成は、日中できない事が多く、夜中仕事になりがちです。
M&Aマッチング
買手候補の企業から問い合わせが来れば、売手企業に代わって説明提案に行きます。相手の真剣度が高ければ、2度、3度と足繁く通うことにも。
候補の中から、ベストな相手と顔合わせを行い、双方の理解を深めていきます。ここまでは、売手を中心に仕事を進めることになりました。
そして、ここから先は、逆に買手を中心に仕事を進めることになります。買手から、矢継ぎ早の依頼、資料や情報の開示要求、条件変更依頼(値下げ等)が突き付けられ緊張MAXです。
「それでは売らない」「気が変わった」「金額ほど実際の価値がない」「銀行が反対している」毎日のように、そんなやりとりに振り回されて、気持ちが折れそうになります。
売手と買手の誤解を解くため、東京と大阪を1日で2往復したなんて話も。
意外かもしれませんが、マッチング期間は3~6ヶ月の短期勝負。
大型案件が重なると、心身共に疲労が大きいです。
M&A契約
最後の詰めの所です。
契約詳細(金額や条件、進め方)を検討するにあたり、専門家チーム(会計士や弁護士)が結成されます。
例外もありますが、この段階になれば、およそM&Aは成立。
コンサルタントも本来なら達成感に浸ることができるでのでしょうが。。。
アフター
M&A成立後のフォローも必要です。
買手はM&Aに積極的なヘビーユーザーになり得ます。次のM&Aの提案が出来るよう、関係性を継続させる事も重要です。
日本M&Aセンターの平均年収の推移
有価証券報告書を元に、日本M&Aセンターの平均年収の推移データをグラフで紹介します。

ちなみに、平均勤続年数は3.8年。これは、5年間ほぼ変動なしです。
4年前当時のメンバーが、データからは「ほとんど残っていない」状態です。
激務とプレッシャーに耐えた者が得る高年収
M&Aコンサルタントの仕事は激務です。
日中はデスクワークは出来ないでしょうから、それらは自ずから夜中と休日です。
ざっと月に100時間から、多い人なら200時間の残業があるでしょう。
ただし、単に労働時間が長いだけでなら、他の業界でも見られます。
M&Aコンサルタントが他と違うことは、結果が求められるプレッシャーです。
売手と買手双方の考えを上手く調整すること、多額のお金のやり取りを扱うこと、働く社員やその家族の人生を預かることなど、気が休まることは全くありません。M&Aは経営者や社員の人生を変えてしまうものです。
またM&Aに伴う判断を、その場その場、その案件ごとに、自己責任で行うことになります。
そこにマニュアルはありませんし、上司はもちろん相談に乗ってはくれますが、最後は自己責任による判断です。
この局面は、おそらく想像より遙かに早く、入社した皆さんの前に立ちはだかるでしょう。
プレッシャーに圧し潰される人、犯したミスから立ち直ることが出来ない人は、早晩に会社を去っていくでしょう。
もうひとつ、社内から受けるプレッシャーも想像を絶するものです。
自己責任により、個々が能力を発揮できる環境は整っています。
同時に、結果についても、言い逃れが出来ないレベルで明確です。
競争が激しいプロスポーツの世界に似ています。
コンサルタント全員が、生き残りをかけて必死に戦う事になるでしょう。
その結果が、35歳で1400万円の高年収です。

M&Aコンサルタントに求められる能力
プレゼン能力、情報分析力、交渉力、コミュニケーション力などの能力と、プロ意識や成長意欲、プレッシャーに耐えうる精神力、全てにおいて高い次元で求められます。
あらゆる面で高い次元にある人材は就職・転職市場において、そうたくさんいるものでありません。
出来るだけ高く給与を設定し、多くの人材を集め、入社してから競争させてふるいにかけていくというのが基本的な採用のスタンスです。
したがって、思いのほか入社のハードルは低いかもしれません。
M&Aコンサルタントとして転職したいなら
転職エージェントを通じて活動するのが最善です。
特に業界未経験ならエージェントの担当者からアドバイスを受けながら転職活動を進めた方が採用確率が上がります。
エージェントは、どこでも良いと思いますが、次のような所なら大手になるので、日本M&AセンターはじめM&Aコンサルタントの求人が公開・非公開含めて多くありそうです。
業界最大手。全体の約90%が非公開求人です。転職初心者は、まずはこちらを登録しておきましょう。
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日本M&Aセンターの将来性
業界トップランナーとして、走ってきた日本M&Aセンターですが将来性については課題があります。
同社の主な利用者であった、団塊世代の経営者がおよそバトンタッチが終わり、次世代の市場開拓が同社にも課せられています。
その一方で、最近は日本M&Aセンターが得意にしていた中堅中小企業のM&A市場に、大手、中小含めて続々と競合が参入してきました。
例えば、テレビCMでお馴染みのビズリーチやリクルートもM&A市場に既に参入しています。
これらの企業は、若い経営者世代も取り込み、また手数料を売手を無料にするなど、同社より大幅に下げているため競争は激化することでしょう。
また今後は、ネットを使って、コンサルタントを間に介さないM&Aのプラットフォームも、小企業やIT企業を相手に出て来そうで、この辺りは日本M&Aセンターが苦手とする領域です。
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
皆さんの就職・転職活動のお役に少しでも立てれば幸いです。
日本M&Aセンターの企業情報や求人情報はこちらで詳しく解説しています。

日本M&Aセンターの転職参考書
【タイトル】 日本型ブリッツスケール・メソッド 日本M&Aセンターの経営成長戦略
【内容】著者である島田氏は、台湾エバーグリーン財閥運営ファンドの社外監査役のほか、国内上場企業の社外取締役などを多数歴任し、数々の実績を誇る経営コンサルタント。
日本M&Aセンターの社外取締役を2007年から2018年まで務め、経営アドバイスをしながら、上場、そして現在に至る同社のブリッツスケール(爆発的成長)を間近で見てきた人物です。
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