私は人事コンサルタントとして、様々な業界での経験、その後、介護事業会社の幹部社員として、事業運営を任されています。
この記事では、介護派遣の仕事をするにあたって、そのメリット・デメリットや注意点をQ&A形式で書いています。
今回は、実際に派遣社員を使う立場の側から書くことにより、他のブログや記事とは違う視点から派遣の仕事を見てもらえると思います。
最初に企業の立場から言わせてもらうと、「介護業界において派遣は、出来れば使いたくない」が本音です。
それでも、この記事では「介護派遣もおすすめ」と書いています。
なぜ私は、この2つの矛盾したことを言っているのか?
さっそく進めて参りましょう。
★この記事の内容
介護派遣の仕事とはどのようなものか?
派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、介護施設や事業所に派遣される社員のことを言います。実際に働く企業との雇用関係はなく、あくまで派遣会社との雇用関係にあります。派遣先の社員ではないのです。
派遣先の施設にとっては、即戦力人材を外注していることになります。施設にとっては、必要な時に必要な労働力を確保する有効な手段です。
施設は派遣された対価を派遣会社へ支払い、その対価の中から、派遣会社は派遣社員に給料を支払います。
介護派遣には2種類あります。
登録型派遣
派遣会社に登録し、派遣会社と契約した施設へ派遣されます。契約は2~3ヶ月のところが多く、延長の要望があったら延長します。派遣先が合わないなら契約更新せずに他の施設を紹介してもらうこともできます。
今回のブログ記事では、登録型派遣を想定して文章を書いています。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは派遣期間(最長6ヶ月)終了後、本人と派遣先企業の双方合意のもとに社員となる働き方です。 一定期間、派遣で働くことで仕事内容や職場の雰囲気を見極められるメリットがあります。もちろん正社員になりたくないなら、断って次の施設を紹介してもらうことになります
正社員で働きたいという方は紹介予定派遣がいいと思います。
個人的には、派遣とは登録型派遣だと思っています。紹介予定派遣はインターンのようなものですね。
介護派遣のメリット・デメリット
介護派遣で働くメリット
- 時給が高い
- 残業がほぼない、あってもしっかり残業代がつく
- 勤務形態や時間に自由がある
- 煩わしい人間関係に気を使わなくてよい
- 経験の幅が広がる
- 仕事を掛け持ちできる(副業も可)
介護派遣で働くデメリット
- 雇用が不安定
- 収入が不安定
- 不景気に弱い
- 常に希望にあった紹介があるとは限らない
- 定型的な業務中心
- スキルや経験が深掘りされない
- 社会的な信頼性
雇用が不安定であるのは間違いないですね。施設で人が充足されれば、真っ先に切られるのは派遣社員であるのは致し方ないでしょう。
私が運営している施設のマネージャーに聞いても、派遣社員はあくまで補助的な要員であり、大事な仕事は任せられないと言います。
したがって、色んな施設で、色んな仕事は経験できるけど、ともすると浅く広くに終始するのが現状です。
介護派遣が向く人・向かない人
介護派遣が向く人
- とにかくお金稼のために仕事をしたい人
- 人との関わりが煩わしいと思う人
- 自分の希望する曜日や時間だけ働きたい人
- 他に自分の目標や、やりたい事が明確にある人
介護派遣が向かない人
- 正社員で働きたいと思っている人
- 雇用・立場の安定を望む人
- 世間体を気にする人
それでも介護派遣をおすすめする理由
効率的に稼ぐため、残業や長時間労働、人間関係の煩わしさから解放され、自分のライフスタイルにあわせた介護派遣はおすすめです。
逆に正社員をおすすめしない理由とした方が適切かもしれませんが、介護職の正社員の給料は安すぎます。
安い理由は、事業主が搾取している訳ではなく、現場の生産性が低すぎるからです。
現場の生産性が低いのは、国の介護保険制度の構造的な欠陥や、現場のIT化やロボット化が進んでいないこと、零細事業者が多く前近代的な経営がまかり通っていることなど、理由は多々あります。
でも介護業界の未来はバラ色とは言わないまでもポジティブです。
介護業界は景気の影響を受けません。あらゆる経済環境下でも安定成長します。
平均寿命が延び、年金制度に信頼がおけないいま、60歳を超えて、70歳、75歳まで働き続ける時代がやってきます。
高齢者の雇用の受け皿にも介護業界はなります。
介護派遣社員の仕事の実態についてQ&A
介護派遣は正社員より時給が高いのは本当か?
間違いなく派遣社員の方が高いです。
厚生労働省が発表した『平成29年度労働者派遣事業報告書』の集計結果によると、介護サービス職業に従事する派遣労働者の1日8時間の平均賃金は、全国平均で13,629円。これを時給に換算すると1,703円です。
一方、介護職の常勤職員の平均は、「平成29年賃金構造基本統計調査」によると月給248,800円、時給に換算すると1,454円です。
比較すると介護派遣の方が給料が高いことが分かります。
正社員の場合、無給のサービス残業も多くあることが予想されるので、実態はもっと安いかもしれないです。
派遣先はブラック職場が多いか?
全てとは言いませんが、残念ながらブラック職場が多いのは間違いないでしょう。
施設にとって高コストな介護派遣を依頼する最大の理由は「人が足りない」からです。なぜ足りないかと言えば、「採用しても人が来ない」「採用しても人がすぐに辞める」に他なりませんよね。
一方、依頼すれば派遣はすぐ来ますし、やめても代わりの派遣を頼めますし、派遣で働く側も「2か月の辛抱」と嫌な事も黙っていてくれるでしょう。
介護業界は人手不足ですが、施設側にもそれなりの理由があるからです。
介護派遣は有給休暇が取れない?
もちろん派遣社員でも有給休暇は取得できます。
ただし、同一の派遣会社で6ヶ月以上継続勤務していることと、労働日の8割以上を出勤していることが条件となります。
有給日数は、勤続年数や労働日数により変動します。全て、正社員やパート社員と同じ考え方ですね。有給の届出は、派遣会社へ連絡をし、派遣先に相談、許可を貰うことが基本です。
派遣会社や派遣先に前もって『有給』であることを連絡しておかないと、『有給』として認められず、欠勤扱いになることもあるので注意が必要です。
介護派遣は健康保険や厚生年金などの社会保険に入れない?
社会保険に加入できない誤解が、派遣=不安定のイメージを助長しています。一定条件を満たせば、派遣社員であっても社会保険に加入することはできます。
1週間の労働時間が、雇用する派遣会社に勤める正社員の4分の3以上(1ヶ月の所定労働日数が15日以上、かつ1週間の所定労働時間が30時間以上)であれば、社会保険に加入できます。(派遣先でなく、派遣元の正社員です)
加入すると、毎月の給料から社会保険料を納めるのは、正社員と同様です。
ちなみに社会保険は、個人事業主同様に派遣会社からでなく、個人で加入することも出来ます。ただし、この場合、全額自己負担(通常は半額会社負担)となり、高額になりますが、派遣社員だから入れないという事ではありません。
介護派遣の副業やダブルワークは認められるか?
介護派遣の副業やダブルワークに制約はありません。派遣先を掛け持ちしている人、介護とは全く違う仕事をしている人が多くいます。
むしろ派遣が副業で、別に本業がある人も。芸能人が売れない時代に派遣の仕事をしていたなんて、よく聞く話です。
一方、正社員でも「副業OK」な介護事業所は多く、転職サイト「ジョブメドレー」で調査した所、全求人82000件のうち約7%の事業所が「副業OK」で出ていました。
かなりの確率でダブルワークが求められているようです。
■介護士だから出来るダブルワークについて書きました

派遣も勤務実績があれば実務経験証明書が発行される?
介護福祉士などの資格を取得する場合、受験資格に実務経験が必要です。介護派遣として施設で働いた年数が実務経験にカウントされるのか?と言えば、答えはイエスです。
この場合、実務経験証明書は、雇用契約のあった派遣会社が提出することになります。

派遣会社より登録を断られることはある?
稀なケースですが、派遣会社に登録を断られる場合もあります。最も考えられるのは、社会経験がないなど、スキル不足とみられた場合です。
人材派遣会社と、派遣先施設も信頼関係で成り立っているので、即戦力でない人を派遣すると、その後の関係にひびが入ります。
それ以外も、年齢、性格的なことでも、断られるケースもあります。
1社で断られても、他の会社では登録できたりしますので、諦めずに次をチャレンジしましょう。
複数の派遣会社に登録することはできる?
むしろ複数登録しておくべきです。
最低3社以上の派遣登録がおすすめです。2社登録だと「良いほうと悪いほう」という二択になりますが、もしかすると「悪いほうと、すごく悪いほう」かもしれません。
より稼ぐために不安定な派遣の仕事をする訳ですから、派遣会社を複数登録し、比較検討し、単価の高い案件が紹介されたら、すぐにその案件に移りましょう。
基本的に「この施設は自分と合わない」と感じた時は、契約更新せずに他の施設に移ることです。そこをためらう必要はなく、自分の身は自分で守るために、割り切りが派遣には必要です。
派遣会社の登録解除方法は?
登録している派遣会社がもう必要ない時は、登録解除の手続きをします。方法は、派遣会社に電話連絡して、「登録解除してほしい」と伝えるだけです。
正社員として就職する時に不利になるか?
就職する企業、担当者により様々で、一概に良い・悪いは言えませんが、私が採用する立場での見方を述べるとすれば、派遣社員の経験の有無は、それほど気にはなりませんが、派遣の期間の長さは気になります。選考においてもネガティブな評価になっています。
派遣の経験が長い人には、独自の仕事スタイルや仕事観があり、正社員のそれとは相容れないものがあること、派遣のスタイルは、なかなか変えられないこと、経験上、そんな風に思っています。
介護派遣は一時的なものなのか、ずっと続けるものなのか、いずれは正社員でと考えるなら、介護派遣は長く続けるものではないと思います。
介護派遣は住宅ローンが組めない?

非正規雇用者数が正規雇用者を上回る現状、派遣社員でも住宅ローンが組めるよう、サービスを展開している銀行が多くなってきています。したがって、全く住宅ローンが組めないことはありません。
ただし、正社員と比べて、身分が安定しない派遣社員が不利であることは間違いありません。個人の信用力を高めたり、頭金を多く貯金することも併せて必要です。
介護人材派遣会社の利用方法
派遣会社に登録をすると、履歴書を準備して派遣会社の担当との面談があります。
面談では、職探しの希望をヒアリングされます。その後、求人紹介、施設との面談、採用、入社日までのフォロー、入社後のフォローなどが派遣会社のサービス内容です。
採用が決まれば、派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結びます。派遣中も、何か疑問点や希望があれば、担当者に相談することも可能です。
契約期間の満了や、本人や施設が継続を希望しない場合、派遣先との契約が終了します。担当者は、本人が引き続き仕事を希望すれば、次の就職先が見つかるよう手配を進めます。
おすすめ介護人材派遣会社
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「介護派遣に向かない」と思う方には
ここまで読んで、「やっぱり自分に派遣は向かない」と思われたなら、正社員となります。
正社員として介護施設で働くなら、自分の希望の条件や考え方マッチした就職先を選ぶことが大切。
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繰り返しになりますが、介護業界の転職エージェントにありがちな煩わしい電話営業も一切ありませんので、自分のペースで転職活動が進められます。
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