児発管

【2022年】児童発達支援管理責任者の要件・仕事内容・全国の研修日程

2022年度(令和4年)の児童発達支援管理責任者(通称:児発管)の要件と仕事内容・全国の研修日程について書きました。

児発管とは、児童発達支援センターや、児童発達支援事業、放課後等デイサービスなどの児童福祉法に定められた施設で、発達の遅れが気になる子どもとのかかわりを通して、施設の療育をリードする役割をいいます。
これら施設が行政から指定を受けて、利用者が1割負担で施設を利用するためには、必ず1名以上の児童発達支援管理責任者が常勤で必要です。(幼児教育無償化の対象であり、3歳以上の児童は無料で利用できます)

児童発達支援の施設が全国で約6800事業所、放課後等デイサービスが約14000事業所、児童発達支援は幼児教育無償化対象ともなり、今後ますます児発管の仕事のニーズが高まります(2022年6月時点)

 

この記事の目次

 

児発管がサポートするのは、増え続ける発達障害児童

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)他、これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点で共通しています。

「じっとしていられない」「文字を読むのが難しい」「言葉の遅れ」「周りの子どもとコミュニケーションが取れない」などの症状が主に挙げられますが、いくつかのタイプの発達障害が重なることも珍しくなく、そのため同じ障害でも、まったく違って見えることがあります。
個人差がとても大きいのが「発達障害」の特徴です。

 

児童発達支援管理責任者(通称:児発管)ってどんな仕事

なかなか想像がつかないのが児発管の仕事。
実際のお仕事内容を、かいつまんで説明します。

児発管の具体的な仕事内容

児童発達支援管理責任者の具体的な仕事内容は、保護者との相談支援、子どもの個性に合わせた個別支援計画の作成、指導員への助言や指導、そしてアセスメントやモニタリングです。

アセスメント

アセスメントとは、子供の発達状況の分析を行い、自立可能な日常生活を営むために解決すべき課題を把握する事です。
家庭環境や幼稚園での様子、心理検査、発達検査、医療歴や診断などの情報から、一人ひとりの課題を見つけ出していくことをアセスメントと言います。

個別支援計画の作成

個別支援計画とは、アセスメントの結果に基づき、利用者に対する支援内容をまとめたものです。

指導員への助言・指導

個別支援計画に基づき行うサービスの質の維持・向上を目的として、専門的な経験や科学的な知見に基づき、指導員に改善点等を伝えることです。

モニタリング

モニタリングとは、個別支援計画を元に決められた療育が計画どおり提供されているかどうか、事業所と保護者の間で共有することです。モニタリングは定期的に行うことになります。

 

児発管の仕事をひと言でいえば、教室運営とご家庭へのコンサルティングであり、経験に裏打ちされた専門的な知識、診断能力、それを保護者と共有できるコミュニケーション能力が求められます。

また「興味はあるけど、児発管にはなれない」と思われる方もいるでしょう。ところが、保育や介護の経験があれば、案外、児発管の仕事に近付いていたりします。
どのような経験を積めば、児発管になれるのか、のちほど詳しく書いています。

 

児童発達支援管理責任者(児発管)に必要な実務経験

児童発達支援管理責任者になるには、要件は2つあり、1つは実務経験、もう1つは研修受講です。
児童発達支援管理責任者の実務経験を満たす3つの方法をご紹介します。

「相談支援業務」を通算5年以上

障害を持つ方やその家族の相談に乗る、相談支援業務に5年以上従事すれば、児発菅の実務用件はクリアします。
ただし、うち3年以上は、児童または障がい者に対する相談支援業務である事が必要です。

・相談支援事業における相談支援業務が5年以上

具体的には、地域生活支援事業、障がい児相談支援事業、身体障がい者相談支援事業、知的障がい者相談支援事業が該当。

・相談機関等における相談支援業務が5年以上

具体的には、児童相談所、児童家庭支援センター、身体障がい者更生相談所、精神障がい者社会復帰施設、知的障がい者更生相談所、福祉事務所、発達障がい者支援センターが該当。

・施設等における相談支援業務が5年以上

具体的には、障がい児入所施設、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障がい者支援施設、精神保健福祉センター、救護施設、更生施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、地域包括支援センターが該当。

・就労支援における相談支援業務が5年以上

具体的には、障がい者職業センター、障がい者就業・生活支援センターが該当。

・学校における相談支援業務が5年以上

具体的には、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校における相談支援業務が該当。

・医療機関における相談支援業務が5年以上

具体的には、病院、診療所における相談支援業務が該当。

 

「直接支援業務」を通算8年以上

障がい者施設や介護施設で、直接業務に8年以上従事すれば、児発菅の実務用件はクリアします。ただし、うち3年以上は、児童または障がい者に対する業務である事が必要です。

・施設等における介護業務が8年以上

具体的には、障がい児入所施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、授産施設、乳児院、病院又は診療所の療養病床関係病室、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童家庭支援センター、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障がい者支援施設における介護業務が該当。

・事業所等における介護業務が8年以上

具体的には、障がい児通所支援事業、老人居宅介護等事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業、障がい福祉サービス事業における介護業務が該当。

・医療機関等における介護業務が8年以上

具体的には、保険医療機関、保険薬局、訪問看護事業所における介護業務が該当。

・障がい者雇用事業所における就業支援の業務が8年以上

特例子会社、助成金受給事業所

・学校における業務が8年以上

具体的には、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校における業務が該当。

 

資格を持ち、かつ通算5年以上の実務経験

下の資格を持ち、かつ直接支援業務の経験が5年以上あれば、児童発達支援管理責任者の実務経験の要件を満たします。
ただし、うち3年以上は、児童または障がい者に対する業務である事が必要です。

・社会福祉主事任用資格
・相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了する等により相談支援の業務を行うために必要な知識及び技術を習得したものと認められるもの(介護職員初任者研修等の修了者)
・保育士(国家戦略特別区域限定保育士も含む)
・児童指導員任用資格者
・精神障がい者社会復帰指導員任用資格者

 

その他、国の定める下記の国家資格を持ち、国家資格に関する業務に5年以上従事し、かつ相談支援業務または直接支援業務の経験が通算3年以上ある人も、児発菅の実務経験の要件を満たします。

【国家資格】
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士

どうでしょう?
読者の皆さんの実務経験は、児発管の要件をクリアしていますでしょうか?

 

児発管として働くには、これらの実務経験を証明する必要があります。
過去に就業した事業所や施設、学校などで実務経験証明書を記載してもらう事が必要です。

 

児童発達支援管理責任者(児発管)に必要な研修受講

しかし実務経験を満たしているだけでは、児童発達支援管理責任者としては働けません。
もう1つの要件として研修受講があり、「基礎研修」と「実践研修」。5年ごとの資格更新に必要な「サービス管理責任者更新研修」の3つです。

基礎研修

基礎研修(15時間)では、管理責任者の基本姿勢や、アセスメントの考え方や個別支援計画作成のポイントなどが講義されます。

これまでは、介護、地域生活(身体、知的・精神)、就労、児童の分野に分けられていましたが、統一されたカリキュラムに変更、「分野」という考え方がなくなりました。

また受講要件が緩和され、先に紹介した実務経験に満たない段階から研修受講が可能となりました。

業務 受講に必要な実務経験
相談支援業務 3年
保育士等の資格が無い直接支援業務 6年
保育士等の資格を持った直接支援業務 3年
国家資格業務に通算5年以上の者による相談・直接支援業務 1年

基礎研修修了者は、1人目の児発管がいる事業所で、2人目の児発管として一部の児発管業務を行う事が可能となります。

 

実践研修

実践研修(14.5時間)は支援会議の運営、指導員への助言・指導、個別支援計画の質の向上、人材育成によるサービスの質の向上など、より実務に則した内容となりそうです。

過去に2年(360日)以上の児発管としての実務経験があることが実践研修の受講要件です。

 

更新研修

更新研修(13時間)も新設です。児発管資格を更新するために、5年毎の受講が求められます。

施策の最新の動向について知ること、児発管としての自己検証や、スーパーバイズなどが内容となります。

 

研修は都道府県毎に、年1~2回開催されていて事前申込制です。
研修には多数の申込が入り、定員をオーバーする場合は抽選となります。

2022年度、各地の研修日程は、それぞれ次のようになっています。日程が未発表の都道府県もあります。発表次第、随時更新していきます。

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実務経験を満たしても、研修が未受講の方。
3年間の児童または障がい者に対する実務経験が更に必要な方。
児発管の仕事に興味を持った読者の中にも、このような方も多いのではないでしょうか。

このような方は、新たな知識やスキルも必要とされるので、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所に転職して児発管を目指す方法を、多くの方が採るようです。

 

児童発達支援管理責任者(児発管)のやりがい

児童発達支援管理責任者の仕事のやりがいは、障害をもって生き辛さを感じる子供たちや、その家族が自信をもって生きていけるサポートができることです。

ユニセフの子供白書によると、人間の脳は6歳までに大半が創られると言われます。

欧米諸国で義務教育の開始年齢を早めているよう、早期教育の重要性は世界中で認識されています。

療育を通じて、会うたびに子供の成長を実感できる喜びは、何物にも変えられないものです。

また保護者との間に生まれる信頼関係、成長を分かち合える喜び、頼られ、感謝されること、これらも児童発達支援管理責任者のやりがいです。

児発管の将来性については、こちらの記事にまとめています。

児童発達支援管理責任者の将来性が楽しみな2つの理由と2つの心配事児童発達支援管理責任者(通称:児発管)の将来性について検証します。 この記事を書く私は、人事コンサルタントして20年のキャリア、そ...

 

もうひとつのやりがいは、ゆとりのある仕事環境。

施設が行政から指定を受けるために、国が求める人員配置の基準があります。
人員の配置は、利用者に手厚く定められていて、マンツーマンをベースに行われるレッスンは、働く側にとっても専門性の高い仕事にじっくりと取り組める、素晴らしい仕事環境です。

最後に児発管の月給は30万円以上が相場。
保育士の平均的な給与と比べると高額になります。なり手が少なく、多くの事業所が求めている注目の職種だからです。

こちらの記事に児発管の給与について、詳しく書いています。

児童発達支援管理責任者(児発管)の平均年収・平均給与と今後の見通しこの記事では転職活動中の児童発達支援管理責任者(通称:児発管)の方へ、平均的な給料・月給、今後の動向についてまとめています。データや事実...

 

児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事の探し方

児発管の仕事は求人サイトから探すことが出来ます。

一般の求人サイトからでも見つけることは出来ますが、保育士向け専門サイトの方が掲載数は多いようです。

なお、児発管で求人サイトを検索すると、「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の事業所がヒットします。

違いは、未就学児童を対象としているのが「児童発達支援」、小学生から高校生までを対象としているのが「放課後等デイサービス」です。

また「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」を兼業で行う教室も多く、その多くは、「放課後等デイサービス」をメインにしているので注意が必要です。

 

保育系求人サイトの中ではジョブメドレーが一番のおすすめ。ジョブメドレーは医療介護に特化した求人を展開するメドレーが提供する、求人案件数日本最大級の保育士専門求人サイトです。全国の求人情報が掲載され、かつ児童発達支援の情報が豊富。

ジョブメドレーで検索すると、全国で3000件を超える児発管への求人がありました。(令和5年6月時点)

ダントツの求人数、ジョブメドレーに登録しておけば、日本中の児発管の求人の大多数をカバーできるのではないでしょうか。登録すると、お住まいの近くの児発管の求人情報や新着メール、スカウトメールが届きます。面倒な営業電話もかかってこないので、おすすめですよ。

 

保育士求人【ジョブメドレー】 

 

児発管におすすめしたい児童発達支援の教室

全国で展開する、おすすめの教室を紹介します。こちらの3教室が、教室数で日本のTOP3です。いずれも、保育士求人【ジョブメドレー】で掲載されていました。

リタリコジュニア

株式会社LITALICOは「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げて、就労支援や児童発達支援、放課後等デイサービスなどの教育サービスを提供する東証一部上場企業です。

教室数は全国100教室、国から支援を受ける福祉サービスと共に、保険外で児童が通う教室運営も行っています。

こちらはリタリコ代表、長谷川敦弥氏の書籍です。

【タイトル】 発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。

【内容】発達に課題のある子どもたち8000人が通い、さらには待機児童が何千人もいるという人気の教室「LITALICOジュニア」。著者は「教室に来る子はみな独創的で、将来の可能性を感じさせる子たち」と語る。本書では、発達に凹凸のある子の伸ばし方、また、多様な人が活躍できる「障害のない社会」のつくり方までを提唱していく。

 

コペルプラス

幼児教室として25年以上の実績がある株式会社コペルの児童発達支援教室です。

リタリコ同様に全国で約200教室を運営しています。コペルプラスは、2000を超えるオリジナル教材を使って、自己肯定感を大切に、子どもの内なる能力を引き出します。

コペルプラス代表、大坪信之氏の書籍です。

【タイトル】 「発達障害」という個性 AI時代に輝く ― 突出した才能をもつ子どもたち

【内容】本書では、幼児期の教育に焦点を当て、「潜在能力を引き出す」「才能を伸ばす」ヒントをまとめています。発達障害の子どもたちも、社会で活躍できる可能性を持っています。自らも発達障害であるという著者が、「発達障害の可能性を多くの人に知ってもらいたい」と書き上げた一冊です。

 

こぱんはうす さくら

オークニ商事株式会社が運営する、こぱんはうすさくらは、児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所です。全国で約80教室、運営しています。

リタリコジュニア、コペルプラス、コパンハウスさくらはこちらの記事で詳しく解説しています。

児童発達支援・放課後等デイサービス 大手各社の求人情報まとめこちらは児童発達支援や放課後等デイサービスの障害児福祉業界で転職をお考えの方に書いています。 全国にあわせて約15000事業所ある...

 

児童発達支援管理責任者まとめ

発達の遅れが気になるお子さんに向けて、国が支援する障害福祉サービス、児童発達支援。

現在、ご父兄からの注目度と比べると、サービスの担い手となる児発管が不足しているようです。

児童発達支援管理責任者(児発管)という、障害児向け療育のプロとして、道が広がるこの仕事は要チェックです。

 

児童発達支援の求人情報は、

>>保育士求人【ジョブメドレー】

にそれぞれ掲載されています。

 

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(参考)
>>児童発達支援ガイドライン(厚生労働省)