宅建士

宅建は転職に有利?転職先の実態や年収、転職方法まで徹底解説

「宅建資格を取得すると転職に役立つの?」「宅建士の資格は以前に取得したけど、転職できるかな?」。

このような疑問をお持ちの方へ、この記事では宅建士資格が活かせる業界、その業界の求人の実態について解説します。

宅建士は国家資格の中でも転職やキャリアアップにつながりやすい資格、40代や50代の転職活動にも活かせる資格です。

勉強時間は1年間。ぜひこの機会に宅建資格を取得して、年収アップ、キャリアアップアップにつなげてもらえれば。

 

この記事で伝えたいこと

・宅建資格は転職に有利

・業界未経験や40代、50代でも転職に成功しやすい

・宅建の勉強時間は300~500時間、1年で間に合います

 

この記事を書く私は人事コンサルタントとして20年のキャリア。

その後は事業会社で役員をしています。

店舗運営の仕事の関係上、不動産を扱います。

なので宅建資格も3年前に取得済です。  

 

宅建は転職で有利か

結論から言うと、宅建の資格を持つと有利です。

不動産仲介業の場合、宅建の資格保持者が従業員の5人に1人以上の割合でいなければならない決まりがあります。

また契約の際に行う、重要事項説明は宅建資格者でないと出来ない独占業務です。

法的にも必要なので、不動産業界なら宅建資格を持っているだけで転職のアドバンテージです。

少なくとも、書類選考で落とされることはないはずです。

他の業界、不動産を取り扱う仕事、例えば店舗や宿泊施設、太陽光発電などの開発業務でも宅建資格は役立ちます。

契約から開業にいたるまで、用途地域や建ぺい率など、常に法令上の制限がついて回り、不動産関連の法律に詳しい宅建資格者の専門性は必要です。

また、宅建資格と直接関係のない業界も、資格保有はプラスです。

単に自己啓発として評価されるだけでなく、意外と実務に求められます。

例えば、メーカーや製造業、商社などでも、テナントビルや遊休地を保有する企業がありますが、そのような企業なら、総務部の中に不動産管理の部署があり、宅建資格者が活躍しています。  

 

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よくある「業界の大枠」を書いたものでなく、不動産の実務で知らないといけない事、上司や先輩がまともに教えてくれない事が、詳しく丁寧に書かれています。

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宅建資格が活きる転職先

不動産業界

大別すると不動産業界には、用地を取得してマンションやオフィスビル、商業施設を開発する「不動産デベロッパー」、土地や建物を売却、賃貸する「販売・仲介業者」、物件の運営管理を行う「管理会社」があり、大手から中小、さらには個人経営まで裾野は非常に広いです。

不動産業界は約30万事業所、約100万人。

建築業界などに続いて全産業の中でも大きなウェイトを占める業界です。

このあたりの不動産業界については、こちらの記事で網羅的に書いています。 https://kotobuki.blog/1924/  

 

業界未経験者が不動産業界で仕事を始めるなら「販売・仲介業者」か「管理会社」が一般的です。

いずれも顧客の経験や知識不足を補完し、不動産取引が問題なく進むようサポートするのが役割です。

そして、不動産に関する重要事項の説明は宅建士だけが許される独占業務です。

同じ会社に居ても、無資格者には出来ない仕事です。

これだけみても不動産業界の転職で宅建資格保有は有利ですね。  

 

建築業界

建設会社の中には、自社で建築を請け負うだけでなく、完成した物件の販売まで手掛けている会社があります。

建設会社が、不動産の販売・賃貸を自社で行うなら、もちろん宅建士が必要です。  

 

店舗ビジネス

小売業や飲食業、店舗を構えるサービス業、フランチャイズ本部など店舗開発の仕事をする上では、宅建資格が活きてきます。

市街化区域では用途地域毎に用途の制限を受けるため、そこで自社が開業できるのか関連法令に詳しい宅建士の専門知識が活きるのです。  

 

士業系の事務所

弁護士事務所や税理士事務所、司法書士事務所、不動産鑑定士事務所の中でも不動産を専門・得意としている事務所があります。

このような事務所では宅建資格を活かすことができます。

例えば相続が専門の税理士事務所なら、不動産は切っても切り離せないテーマです。

ただし、あくまで弁護士や税理士がメインなので、宅建士はあくまで補助的な立場です。  

 

不動産系のサービス会社

不動産業界は、それぞれ専門性により細かく役割分担されていて、サービス会社がたくさんあります。

例えば、借主が家賃を払えなくなった時に肩代わりする家賃保証会社や、スーモやホームズのような不動産情報サービス、不動産取引のクラウドサービスなど、いずれも不動産取引の専門性が求められます。

なので宅建資格を持っていると転職は有利です。  

 

金融業界

金融機関や保険会社等、金融業界も不動産とは切っても切り離せない業界です。

住宅ローンはもちろん、事業用ローンについても不動産を担保として融資するケースが一般的です。

金融機関で宅建業の免許も取得し、各支店、営業所毎に宅建士を配置させています。

宅建士の資格は金融業界においても活かすことができます。  

 

一般企業

メーカーや商社など、不動産取引とは関係の無さそうな企業でも宅建士の資格を活かすことはできます。

特にテナントや土地を多く所有している企業は、総務部の中に不動産管理の部署を構え、その中で宅建士の資格を持った人が在籍しています。

保有不動産の程度によりますが、限られた数を管理するので、仕事は楽そうです。  

 

未経験の宅建も転職はできるのか?

宅建士の求人は、宅建業者の法的な要件を満たすための求人と、宅建士の資格はプラスαとして全般で活躍して欲しい求人の2つに分かれます。

前者は退職者の補充的な求人であり、「前任者の担当業務を引き継いでほしい」といったニーズが高いので、未経験者には不利な求人です。

一方、不動産業界は採用ニーズが高く、業界経験者に限らず広く募集をかけるので、宅建の資格があれば未経験者でも転職しやすいです。

「業界経験不問、宅建資格はマスト」なんて求人も多々みられるほどです。

実際に私の周囲でも、以前は異業種で働いていたけど、宅建の資格を取得するのと同時に、不動産業界に転職した、という人がたくさんいます。  

 

宅建の将来性

現在、宅建士の資格登録者数は約100万人。

そのうち実際に宅建士として仕事ができる人(宅地建物取引士証の交付者)が約50万人、宅建士の仕事をしている人が約30万人です。

宅建士の将来性については、詳しくはこちらで書いています。 https://kotobuki.blog/2004/  

 

こちらの記事では、宅建資格に将来性がないと考える理由を3つと、そんな中で勝ち残る3つの戦略を、ご紹介しています。

 

宅建の転職先の年収

宅建士として不動産業界で仕事をする場合の平均年収(男性)は次の通りです。 不動産仲介業の平均給与(男性、学歴企業規模計)

年齢層 月給(残業込み) 年収
20~24歳 274,500 3,586,000
25~29歳 339,400 5,250,000
30~34歳 408,200 6,689,000
35~39歳 459,400 7,532,000
40~44歳 497,000 8,054,000
45~49歳 515,300 8,343,000
50~54歳 602,400 9,852,000
55~59歳 547,300 8,891,000
60~64歳 370,700 5,585,000
全体 442,600 7,054,000

*賃金構造基本統計調査(厚労省2019年)

不動産仲介業の給与水準は、企業規模に関係なく高いです。

不動産の仕事は、成果給の比率が高いので営業成果によって年収が異なり、1500万円超えも珍しくないです。

不動産業界は、扱う土地や建物の金額が、数千万円や数億円と、とても高額になるため、その分多額の成果給が見込まれます。 さらに細分化すれば、売買を主に扱う不動産会社の方が、賃貸中心に会社より年収は高いです。

売買の方が扱う金額が高額だからです。

一方で、不動産管理業の平均年収は仲介業と比べて大きく劣ります。

これも不動産を管理することにより得られる報酬が、売買のそれより低いためです。

同じ考え方ですが、不動産業界の年収は、成果に大きく影響を受けます。

なので言い方を変えれば、本人の実力次第で高年収を狙える業界です。

例え業界未経験でも、異業種で顧客から信頼を集め、高いパフォーマンスを発揮していた営業職なら、不動産業界でいきなり高年収を得ることも期待できます。

宅建資格は、未経験から高額年収を得るためのパスポートです。  

しかし、お金ばかりが人生ではないので、コツコツ安定的に仕事をしたいという人の場合は、宅建の資格を元に不動産管理会社や企業の不動産管理部門に転職するのも選択肢です。

成果主義で高い報酬を狙うなら、不動産仲介業。

給料はそこそこ、安定した仕事につきたいなら、不動産管理業。

こんな感じでしょうか。  

 

宅建向け求人の実態

宅建士の求人募集は多く、豊富です。 不動産仲介業や不動産管理業以外でも、不動産サービスや金融、建築、求人は多くでています。

不動産業界は人の出入りが激しいため求人募集の数も多く、独占業務の関係もあり、宅建士の資格を持っていれば、例え未経験者でも転職先がなくて困ることはないでしょう。

 

求人募集は営業職が多い

宅建資格者が転職できる求人募集は営業職が圧倒的に多いです。

大手企業からの求人や年収1000万円超えの求人も多く、宅建資格保有者はいくらでもニーズがあります。

給与体系は、基本給に諸手当、成果によるインセンティブを合算した金額となりますので、成果に応じて青天井で給与が増えます。

営業に自信がある人には魅力的な求人です。 逆に営業で結果を出さないと、求人情報で提示される収入は得られない上に、プレッシャーとストレスがかかるので注意が必要です。

また不動産営業で、特に人脈が乏しい未経験者の場合は、結果(契約)が出るまでには時間がかかるので、しばらくの間は基本給だけの手取りとなります。

そのあたりは覚悟と資金繰りの目途を立てた上で転職しないと、「こんなはずじゃなかった」となるので気をつけてください。  

 

宅建事務職の求人募集は少なめ

営業職と比べると求人自体の数は少ないです。

宅建事務職とは普通の事務職とは違い、営業担当者の代役で重要事項説明などを行う専門的な事務職です。

宅建を取得していないと重要事項説明は出来ない上、法的な配置基準もあるので貴重な存在、数は少ないものの採用ニーズは一定数あります。

とはいえ事務職の給与は営業職ほど高くありません。  

 

宅建士が転職を始めるには

宅建士が転職活動を始めるなら、まずは転職サイトへの登録が良いですよ。

会社によって仕事内容が違うので会社情報をみつつ、エージェントの担当者と話すのが良いでしょう。

不動産業界の求人情報は、こちら転職サイトが手堅いです。

 

マイナビエージェント不動産・建築

→大手、定番のマイナビです。不動産・建築業界の中でも若手向けの案件や、伸び盛りなベンチャー企業の案件が多いです。

不動産業界を専門にした転職支援サービス【宅建Jobエージェント】

→業界に詳しいキャリアアドバイザーが最適な求人を紹介、サポートします。「宅建」と名前はついていますが資格がなくても、業界未経験でも登録できます。首都圏(1都3県)の情報が中心です

転職サイト最大手のリクルートエージェント

→リクルートキャリアが運営する掲載数No.1の転職エージェント。掲載数20万件以上。必然的に不動産業界の求人情報も多く、全国をカバーしています。

 

宅建の仕事の実態

宅建の仕事のきつさ

高年収が期待できる反面、仕事がきついという声も少なくありません。

宅建士の独占業務は「重要事項の説明」ですが、ほとんどの会社ではそれ以外の業務も任せられ、専業の仕事だけをしていればいいというわけではありません。

営業職の場合は、毎月売上予算を課せられ、予算達成することを厳しく求められ、常にプレッシャーとの闘いとなります。

また、顧客からの要求も大きく、対応に困難を感じることも多く、それがストレスとなります。  

 

不動産業界の離職率

厚生労働省の雇用動向調査によると、不動産業界の離職率は16.5%、介護福祉(14.5%)や運輸業(12.4%)を上回る結果です。

離職率が高い理由の一つとして、先のように仕事が激務であることがあげられるしょう。

ノルマ達成のために、体力的にも精神的にもきついストレスがかかり、耐えられず離職ということもあるでしょう。  

 

宅建の仕事は休みが取れるか

以前は不動産業界の休みといえば火水曜日など平日が多かったのですが、最近は土日を休む企業も増えてきました。(依然として平日が休みの会社もあります)

とはいえ、仕事のスケジュールは顧客次第といった所があり、仮に土日が休みでも必要であれば休日出勤も出て来ますし、学生マンションを主に扱う不動産会社なら2月から3月はまともに休みが取れない会社もあります。  

 

40代や50代でも転職できる?

宅建は年齢不問、40代、50代でもそれほど苦労なく転職先が見つけられます。

当然20代や30代よりは転職のハードルは上がりますが、前職の経験や専門知識をもとに不動産業界でも貢献できるイメージを持ってもらえればOKです。

不動産業界は離職率が高く、人の入れ替わりが激しいこともあり、40代~50代での転職でも充分に活躍が期待できます。 転職先で成果を上げれば、大手企業やより専門的な企業への転職、さらには独立起業することも可能です。

実力主義の世界ではありますが、年齢や経験に関係なくキャリアアップが期待できる仕事です。

 

宅建士の資格取得について

最低300時間、自信のない方なら500時間は勉強時間に確保したいです。

合格率は約15%(6~7人に1人合格)、国家試験としては決して難易度は高くないので、半年から1年間を勉強期間に設定し1発で試験合格を目指しましょう。

宅建の場合、スクールやオンライン講座に通わなくても、独学で勉強して合格する人はたくさんいます。

では、オンライン講座に通うメリットは何かというと「モチベーションを維持しやすい点」と「最速で目標に到達しやすい点」なのかなと思います。

結局勉強するのは自分自身なので、絶対に合格するという気持ちがあれば、別にスクールは不要です。

ただし時間が限られているので、つまずく事なく最速で目標到達したい。

そう考えた時、独学で勉強した時につまずく原因は、モチベーションにムラが出ること、分からない所から自力で脱出できないことの2点です。

こういう時に、スクールや講座はありがたいです。独学と比較検討しつつがいいかと思います。

資格スクールには、「オンライン講座(通信講座)」「オンライン講座+通学」「通学」の3種類があります。好みに応じて選びましょう。詳しくはこちら。

https://kotobuki.blog/2548/  

 

宅建合格のためのロードマップをこちらで書いています。

https://kotobuki.blog/1325/  

 

宅建士の転職についてまとめ

宅建の転職の実態まとめ

・宅建資格は不動産業界の転職で有利になる

・業界未経験でも宅建資格があると転職しやすい

・未経験者から不動産業界への転職はエージェントがおすすめ

・不動産業界は年齢不問、実力次第で未経験でも高額報酬も

・とはいえノルマ達成や仕事のプレッシャーは大きく、きつい仕事 ・宅建資格の勉強時間は300~500時間。1年でチャレンジしよう

 

  今回は以上です。 最後までお読みいただきありがとうございました。