50代未経験で転職したい人「50代の未経験者も転職可能な仕事や業界は?住宅ローンもあるし、子どもの学費もこれから、やはり給与面も気になる。また仮に転職できても、果たして安心して働ける会社かどうかも気になるところ。」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容
・50代未経験でも転職可能な仕事
・50代が入社すべき会社選びのポイント
・50代未経験者が転職する手順を解説
この記事を書いている私は、人事コンサルタントとして20年のキャリア、その後は事業会社で役員をしています。コンサルタントとして第三者の立場から色んな業界を見てきましたし、また自分で経営もしています。それぞれの業界で50代がどう活躍し、具体的に幾らくらいの給料をもらっているかを紐解いて参ります。
というわけで今回は、「50代未経験が転職できる仕事+企業選びのコツ」を解説します。
コロナに終息の気配がなく、50代に限らず今はサラリーマンの踏ん張りどころです。
別記事で50代の転職成功率についても書きました。こちらも参考にどうぞ。

50代未経験から転職可能な仕事
未経験は不安と思うかもしれませんが大丈夫です。
むしろコロナで業界全体が厳しい時に、同業界に転職したところで遅かれ早かれ同じ状況になることは自明の理。そちらの方がリスクです。
ここは思い切って、未経験の領域にまで視点を広げチャレンジしてみましょう。
50代未経験からでも転職可能な仕事
・不動産・住宅営業
・マンション管理・ビル管理
・介護福祉
求人は20~30代が中心でも50代が転職可能な仕事
・人材系営業
・インターネットサービス、クラウドサービス
・フランチャイズ本部(オーナー候補)
50代未経験からでも転職可能な仕事
50代まで広く採用枠を広げて募集している職種です。
これらの仕事は、年齢がハンデになることはありません。
年齢制限を設けていては採用できない人手不足の仕事、社会経験の豊富さや年齢がプラスになる仕事、両面あります。
不動産・住宅営業

具体的には住宅リフォーム、土地活用、不動産仲介などが募集の多い職種です。
地主や、介護用に改修が必要な個人宅など、高齢者や中高年以上を対象に営業する機会が多いため、社会経験が豊富な50代が活躍する仕事です。
歩合給を導入している企業が多く、かなり荒っぽい業界です。
会社によっては参考書を1冊読ませたあと、いきなり営業にいかせたりします。
それなりに覚悟が必要ですし、離職率も高めです。
しかし成果に対するリターンが大きいのも、この業界の特徴。
有名なD東建託なら、月給は年齢や経験に関係なく約20万円+歩合給。アパート契約1件とれば、いきなり歩合給200万円なんてこともあり得ます。
令和元年賃金構造基本統計調査(厚労省)によると、不動産業界の給与は高く、男性(学歴計・企業規模10名以上)、50~54歳の平均月給で約60万円です。
ちなみに全産業平均が約45万円なので相当高いことが分かります。
50代にとっては、ハイリスク・ハイリターンな仕事です。
アパート経営となると、建築や税務など専門知識が求められそうですが、クロージングは上司が出て来るでしょうし、そこまで高度なものは必要とされません。
むしろ、営業の役割は足繁く通い、地主と信頼関係を築くことでしょう。
マンション管理・ビル管理

マンションやビル、建物の設備管理や保全、小規模工事の手配、入居者や所有者との連絡や調整を行う仕事です。
マンション住民や入居企業、協力会社とのコミュニケーション力や調整力が問われる仕事、社会経験の豊富な50代のスキルが活きる分野です。
同じ不動産業界でも、営業系の仕事と違って固定給与が多く、低めです。
給与水準は賃金構造基本統計調査(厚労省)によると、男性(学歴計・企業規模10名以上)、50~54歳の平均月給で約45万円、全産業平均と同額程度です。
ただし営業と比べて離職率が低いため、年功序列的な給与となっていて、50代未経験となれば45万円は難しいかもしれません。
少しでも転職を優位に進めたいなら、宅建士もしくはマンション管理士の資格を持つことです。頑張れば1年で取れますので、資格を取ってから転職することも検討してください。
宅建士、マンション管理士の資格については、こちらの記事に書いています。

ローリスク・ミドルリターン、堅実に、安定的に働きたい50代向けの仕事です。
介護福祉

介護分野は給与が安い、ブラック企業の労働環境が劣悪と、悪いイメージを持っている人が多いかもしれません。
確かにブラック企業が依然として存在することは否めないですが、超高齢化社会を迎えて、深刻な介護業界の人材不足を放置する訳にはいかず、厚生労働省も給与改善や労働環境改善に本腰を入れて取り組んでいます。
少しずつではありますが、業界全体に改善が見られます。
介護福祉に転職する最大のメリットは、景気の波に影響を受けないこと、超高齢化社会を迎えて益々介護士の需要が高まること、女性中心の職場であり社会経験の豊富な男性社員は重宝されることです。
とはいえ、依然として安い給料は、この仕事の最大のデメリット。
賃金構造基本統計調査(厚労省)によると、男性(学歴計・企業規模10名以上)、50~54歳の平均月給で約32万円(残業代込み)。
異業種から転職すれば、給与ダウンする人もでてきて、今の生活水準を維持できなくもなりそうです。
国が報酬単価(売上)を決めている関係で、事業者の立場で言えば「給料をあげたくても、あげられない」ジレンマです。
50代が入社すべき会社選びのポイント
失敗しない会社選びのポイントや、さらに大切な転職後のキャリアプランまで。
あくまで私の個人的な考えなので、参考程度にとどめてください。
不動産・住宅営業
先にご紹介したD東建託は、月給20万円+歩合給です。成果次第で歩合給200万円は魅力的ですが、「入社後、いつ契約が取れるのか?」は冷静に考えてください。
例えば地主さんが、自分の畑にマンションを建てるまでに、どれくらいの時間がかかると思いますか?家族会議を重ねて決断までに1年、農地から宅地に転用するまで法的な手続きに1年。
その間、固定給だけで生活することになります。
これは極端な例ですが、いずれにせよ高額商品を売り込む営業は、成果が出るまでに時間がかかるのが一般的。住宅の新築営業や、建て替えのようなリフォーム営業でも同じことが言えます。
私が未経験から転職するなら、同じリフォームでもバリアフリーや手すりなどの介護リフォームなど、ある特定分野に特化したリフォーム会社を狙いますかね。
私のコンサル時代のクライアントにお風呂工事に特化したリフォーム会社がありましたが、初訪から契約、工事完了までが抜群に早くて1~2ヶ月。
歩合給は少ないですが、毎月成果をコツコツ積み上げるイメージです。
この方が成果ゼロ(=給料が安い)期間が短くなります。
分野特化型のリフォーム会社で経験と人脈を築きつつ、より大型工事を請け負うリフォーム会社へ移籍していくイメージでしょうか。
マンション管理・ビル管理
大規模ビルは専門的な知識が必要で未経験者にはハードルが高いです。
私の狙い目は分譲マンションの管理を専門に行う会社。
日本全体でマンションの老朽化が問題となっていて、古いものから順番に大規模修繕が必要です。
ところが修繕に関する住民の思惑や利害が、ほぼ一致しないのが分譲マンションの特徴。
この利害調整に管理会社が活躍します。
利害調整機能として管理会社の役割は、今後ますます重要になります。
これはハッキリ言えば、お金になる分野であり50代の経験が活かされる分野です。
介護福祉
介護福祉の場合、転職による給与ダウンが一番のネックになります。
この問題を少しでも解決する方向としては、「派遣+夜勤あり」の勤務形態があります。
正社員より日給の高い派遣社員として雇用されつつ、さらにその中でも夜勤の多い施設に派遣されることです。
これが介護業界で最も稼ぐ方法です。
介護派遣や夜勤の給与の実態については、こちらの記事で詳しく書いています。

当然デメリットもあります。
まずは派遣社員の身分の不安定さ、そして夜勤で派遣社員を使う施設は往々にしてブラック企業が多いという事実です。
50代には心身共に負担の多い仕事かもしれません。
給与の問題がクリアできるなら、「真面目にやっている企業」に就職しつつ、「介護福祉士」の資格を取得、管理者を目指すのもひとつです。
私の知る限りでは、介護事業者は真面目で誠実な会社と、異業種(特に建築や不動産系が多い)から単に金儲けだけで始めた会社とに綺麗に二分されます。
そのあたりの会社の見極めが大事です。経営母体の企業のホームページやサイトの口コミ情報もチェックしておきましょう。
「介護福祉士」の資格については、こちらの記事も参考にどうぞ。

求人は20~30代が中心でも50代が転職可能な仕事
・人材系営業
・インターネットサービス、クラウドサービス
・フランチャイズ本部(オーナー候補)
前2つの仕事は、基本20代、30代の求人が中心です。
しかし視点をずらせば、充分に50代でも戦えると考えています。
ポイントは「業界経験を仕事に活かす」という考え方です。
例えば、メーカーの工場勤務が長い人が製造業に特化した人材派遣会社へ転職する、建設業界で管理職をしていた人が建設業向けクラウドサービスの営業に転職するなどです。
仕事そのものは未経験の分野ですが、派遣営業の仕事なら見込客のニーズは誰よりも理解できますし、クラウドサービスの開発では、その業界特有のルールや思考をサービスに反映させることもできます。
次にフランチャイズ本部へ将来のオーナー候補として転職するケース。
コンビニエンスストアやホテルチェーンなどで見られる手法です。
転職というよりは、フランチャイズで独立するまでの研修期間のようです。
こちらは50代だから不利と言う訳ではないですが、50代から始めて限られた期間の中で、双方が資金回収できるかどうか、そこが問題となるでしょう。
50代未経験者の転職方法
まとめとしては50代未経験者でも転職可能な仕事はあります。
ただし会社選びで失敗すると、ブラック企業に入ったり、給料が大幅ダウンとなったりするので注意が必要です。
50代が転職するなら、転職サイトから自分で応募するか、転職エージェントに登録するかの二択です。
ハローワークはおすすめしません。
「50代の転職で贅沢は言えないですよ」なんて窓口の担当者の思いやりの微塵もない言葉にプライドが傷付き疲弊するだけ、時間の無駄です。

転職サイトとにらめっこするもよし、転職エージェントにガッツリ相談するもよし。動かないと始まらないので、ぜひトライしてみてください。
転職サイト・転職エージェントのオススメ
自分で求人を探し、応募するのが転職サイト。
転職エージェントは、転職支援プロ(キャリアコンサルタントとかエージェントなどと言います)が、マンツーマンでキャリアカウンセリングを行い、あなたの「強み」や「特性」から最適な求人企業を無料で紹介するサービスです。
ここでは50代にお薦めの転職サイト・転職エージェントを紹介します。
リクルートエージェント
国内最大の転職エージェントなので案件が豊富です。まずはここに登録、相談するのが無難です。今回紹介したような仕事も含め、あらゆる業界の求人情報の中から、広く紹介を受けることができます。
リクナビNEXT
こちらは国内最大の転職サイトです。転職サイトは基本的に20代から30代をターゲットにしているので、あまりお薦めは出来ませんが、不動産系の営業の仕事なら、たくさん掲載されていました。
宅建Jobエージェント
不動産業界に特化した転職エージェントです。不動産仲介営業の仕事や不動産管理会社の仕事なら、業界専門のエージェントに紹介してもらうのが安心です。
介護求人【ジョブメドレー】
介護業界へ転職するなら、業界最大手のジョブメドレーがおすすめです。転職サイトとして自分で応募することも、エージェントを介して紹介を受けることもできます。
マイナビ独立
フランチャイズや代理店を主に紹介するサービスですが、コンビニなどを中心にオーナー候補の求人情報も掲載されています。
本日はここまで。最後までお読みいただきありがとうございました。