こんにちは、Kotobukiです。
転職先としてクラウドSaaS系企業の選び方、事業の将来性を評価する視点、おすすめクラウドサービス会社について書いてみます。
私自身、コンサルタントとして20年のキャリア。その後、事業会社で役員をしています。
事業会社へ移籍した当初、ビジネス向けのクラウドサービスを2つローンチ。そして見事に失敗(苦笑)。
クラウド事業の可能性、そして難しさを誰よりも痛感している立場です。
結論としては「ジャパニーズドリームをつかみたいなら、クラウドSaaS系企業がオススメ」ですね。
無名のベンチャー企業が、瞬く間に上場企業へ駆けあがるのも、わずか数年でサービスから撤退するのもクラウド系企業。
明暗はっきり分かれるので、転職するなら「見る目」は養っておきたいですね。
クラウド・SaaS系の会社とは
言うまでもない話ですが、一応記事の構成上で必要なので。
クラウドとはインターネットを使って様々なサービスを提供するものです。
これまで自分のパソコンで保存していたデータやサービスを、ネット上の空間で利用するもの。

私が携わっていたのはビジネス向け業務特化型ですね。
これから成長が期待できる有望分野だったのですがダメでした。
競合サービスを提供する会社からは上場企業も誕生しています。
今でもGoogle検索すれば残骸が残っているのですが、身バレするのでやめておきます。
辛い思い出です。
業務特化型とは、会計分野やマーケティング分野、人事労務など、企業の中の部門・部署が使うサービスです。
一方で業界特化型とは、製造業や介護福祉、飲食業向けなど、業界毎にラインナップされています。
個人向けセグメントも考えたのですが、混沌としていて整理は断念。
Googleドライブなんかが、代表的なクラウドサービスです。
転職先としておすすめなのは、ビジネス向けサービス。特に業務特化型ですね。
じゃあ、なんで業務特化型が良いかというと、その理由は「日本のベンチャー企業にもチャンスがあるから」です。
個人向けクラウドとなると、GoogleやAppleはじめアメリカからのサービスが強すぎ。日本のサービスは、どれだけ頑張ってもかないません。
ビジネス向けクラウドは、アメリカと日本の仕事スタイルが違うので、メイドインジャパンにチャンスがあります。
とはいえ、ZOOMに日本製は対抗できていないですが。
業界特化型クラウドは、その「業界」によりけりです。
医療のように、いままさに電子化が進んでいる業界なら、一気に市場を席捲するチャンスありですね。
30代や40代の転職なら、業界特化型が向いていると思いますよ。
業界経験が、企画や営業の現場で活かされそう。
転職先としてクラウドSaaS系会社の選び方
2019年の新規上場(IPO)社数は86社。
このうちクラウドSaaS系企業を含む情報通信系企業が最多の34社。ダントツの数です。
有名なところでいえば、フリーやSansan、チャットワーク、ランサーズあたりが、クラウド企業の2019年新規公開組ですね。
その一方で、遙かに超える数のサービスが終了しています。
どこへ転職するか、まさに「天国と地獄」です。
私なりに、クラウド企業の選び方を考えてみました。
それが、こちらの4つ。
・今後の成長が見込める分野
・全体に占めるクラウドサービスの売上構成
・マネタイズ(収益化)の方法
・開発資金の出どころ
上場企業なら有価証券報告書などに記載されていたりしますが、未公開企業なら推測するか、面接の場などで確認するかですね。
ちょっと見ていきましょう。
今後の成長が見込める分野
これが最も重要です。
コロナ禍により在宅ワークが進み、ZOOMの利用者数はコロナ前の2019年12月時点の1000万人(全世界)から2020年4月の3億人、なんと30倍に急増しました。

ZOOMは極端な例ですが、クラウドSaaS企業に転職するなら成長分野です。
私自身、2つのサービスを立ち上げましたが、1つは成長分野、もう1つはそうでもない分野でした。毎日の問い合わせ数は10倍ほど差がありましたよ。
もちろん成長分野ほど競合は多いですが、いくら無競争でも問い合わせがなければビジネスにならないですね。
全体に占めるクラウドサービスの売上構成
クラウドサービスの看板をあげつつ、実はシステムの受託開発がメインといった企業はありがちです。
上場企業でも、このパターンはありますね。
受託開発で稼いだ資金をクラウドの開発に投入するとか、クラウドだけでは食べていけないので受託開発で当面の日銭を稼ぐとか。
将来的にクラウド中心にシフトするなら良いのですが、いつまでも受託開発がメインとか、クラウドサービスは優秀なエンジニアを採用するための単なる撒き餌とかでは、本当のクラウド企業とは呼べないですね。
マネタイズ(収益化)の方法
マネタイズとは「サービスから収益を得ること」を意味します。
Web業界でよく使われる言葉ですが、クラウドサービスではマネタイズの所はすごく重要です。
どれだけ素晴らしいサービスも、マネタイズの部分がしっかり設計されていないと上手くいきません。
じゃあ、どうやってクラウドサービスが稼ぐかといえば、大きくいうと「サービス利用料」か「広告収入」に分かれます。
ほとんどのクラウドサービスの場合、「無料サービス」の部分と「有料サービス」の部分に分かれていて、「これ以上使いたければ、お金を払って下さいね」と有料化へ持っていく流れです。

無料サービスが少なすぎれば、サービスの価値が充分に理解できないかもしれませんし、逆に無料部分が多すぎれば、それで充分に満足するかもしれないです。
いずれもマネタイズに失敗する例ですね。
また、ほぼほぼ無料で提供する代わりに、より多くユーザーを集め、広告収入でマネタイズする方法もあります。
この場合、そのユーザーの質と量により広告価値(収益性)が決まります。

私自身の経験では、クラウドサービスの収益性とは、「ごく少数のヘビーユーザーへ有料サービスを提供しつつ、その他大半の無料ユーザーは囲い込んで広告収入で稼ぐ」かなと思います。
開発資金の出どころ
クラウドサービスがβ版がリリース、改善を重ねてマネタイズ、さらに利益が出るまでには時間がかかります。
その間の開発資金、開発に要する人件費、マーケティング費用は、先に持ち出して、あとから回収する流れです。
となると、赤字期間が続く間のキャッシュを、誰がどのように出すかです。

既存事業の内部留保を取り崩す、銀行からの借入、第三者の投資機関から資金調達、ざっとこんな方法が取れますが、そのクラウド企業は長期にわたる赤字期間をどのように乗り切るつもりで考えているのか?
そこは要チェックです。
このあたりは未公開ベンチャーもプレスリリースで配信しますので、「〇〇〇(企業名) 資金調達」などでググってみましょう。
オススメなクラウドSaaS系会社とは
ビジネス系のクラウドSaaS会社(上場企業)のおすすめを3つあげたいと思います。
下記のとおりです。
・サイボウズ
・SANSAN
・ユーザベース
もちろん他にもありますが、いずれも「マネタイズ(収益化)しつつ、今後の成長性も見込める」企業です。また大小違いあれ、いずれも自社でメディアを持っているのも共通点です。
サイボウズは、中小企業向けにグループウェアなどをクラウドで提供する企業です。元はパッケージソフトウェアを販売していた会社ですが、今は全体に占めるクラウドの構成比が65%以上、毎年20%成長を続ける国内トップのクラウド企業です。
SANSANはTVCMでお馴染み名刺管理アプリを提供する企業で、法人向け有料サービス(SANSAN)と個人向け無料サービス(EIGHT)を提供しています。
SANSANは利用料、EIGHTは広告収入とマネタイズの導線がはっきりしている企業です。

ユーザベースは、企業向けに、企業や業界分析に必要な有料の情報プラットフォームSPEEDAを提供しています。メガバンク5社は全てSPEEDAのユーザーです。ただしユーザベースが有名になったのは、ソーシャル経済メディアNewsPicksからです。
巨額の資金が必要なメディアを運営できるのも、SPEEDAでしっかりマネタイズが出来ているからです。

上場企業だけでクラウドSaaS系企業が100社ほどありますから、有価証券報告書を眺めつつ勉強すると面白いですよ。
クラウド系企業の仕事内容を調べるなら、こちらの記事を参考にどうぞ。

クラウドSaaS系企業を探す方法
その①:大手転職エージェント
私は研究のため登録していますが、クラウド系会社からのオファーも多いですよ。
リクルートエージェントは業界最大手でクローズドの求人が桁違いです。
マイナビエージェントは勢いのあるベンチャー企業の求人が多い印象です。クラウド系のスタートアップ企業もかなり含まれます。
その②:エンジニア職の転職エージェント
エンジニア職なら専用の転職サイト・転職エージェントです。
大手ならそれなりの求人がありましたので、1つか2つ登録して、あとは業界研究です。
パソナ系のGeekOutや、業界大手のレバテックキャリア
あたりで問題ないでしょう。
試しに検索してみたところ、いずれもかなりのクラウド系企業の求人がヒットしました。
転職サイトや転職エージェントを使うコツは、「自分の価値を可視化すること」。
スキルを社内の評価軸でなく、市場価値であらわす「翻訳活動」が必要。
迷う場合は、転職エージェントのコンサルタントに相談しつつが賢い方法です。
クラウドSaaS系企業に転職するために、今日からやるべきこと
転職までは考えていないけど、「業界に興味あり」の人、近い将来の転職を見越して「業界研究を進めておきたい人」なら、次のようなことに取り組むのはどうでしょう。
実際に使ってみる(無料登録)
無料サービスを実際に使ってみるのが一番の近道です。
少し目線を変えて、これまでのユーザー視点から、よりビジネス視点でみます。
例えば、名刺管理アプリのEIGHT。
名刺管理クラウドから、ビジネスマン向けのSNSへ変貌を遂げつつ、新しい機能が続々と追加されそう。どのような広告が配信されているかも含めて、チェックしておきましょう。
次にお金の管理のマネーフォワード
連携する銀行や保険会社、さらにはクレジットカードやAmazonやビットコインまで。連携するサービスが日ごとに増えていて、マネーフォワード1つあれば、お金の管理が一元化できるようになっています。
これ全て無料で使えますが、今後どのようにサービスが発展するのか要チェックです。
本で学習
手始めは本で良いと思います。まずは業界全体を俯瞰して学ぶのがいいですね。
オススメ本と思ったのですが、正直ないです。というか、分からないです。
Amazonでググりつつ良さそうなものを探してください。
株を持つ
自分がコンサルタント時代にやっていた方法です。
担当するクライアントが属する業界企業の株を買っていました。
そうすることで業界研究もしますし、その業界全体の動きがリアルに分かりもします。
クラウド系企業で、ビジネス・個人向けあわせ100社くらい上場していますので、1社1社確認しつつ、気になる株を買ってみたらかなり勉強になります。
分析の視点は、さきほどお伝えした通りです。
しかもクラウド系の株価は、コロナ禍の中、上昇局面にあり儲かるかも。もちろん断言できませんよ!
今日はこのくらいで終わります。
クラウドSaaS系企業の選び方、少しはお役に立てていれば幸いです。
皆さんの転職活動が、上手くいきますように。