50代男性で転職活動をしても、年齢が理由で厳しくなるのではないかと考える方もいるでしょう。
Googleの予測変換で「転職 50代」と入力すれば、「厳しい」「成功率」といった言葉が後に続くので、多くの方が考えることなのかなと思います。
私自身も同世代として、考えなくもない50代の転職。
推測や筆者の主観を排して、厚生労働省が毎年調査する「雇用動向調査」の2019年結果をもとに、50代男性の転職成功率の仮説を立ててみました。
私自身はコンサルタントとして20年のキャリア、その後は事業会社の役員をしています。
50代のビジネスパーソンのキャリアデザインについて個人的に関心もあり、関連記事を幾つか書いていますので、あわせてご覧頂ければ幸いです。
転職成功率とは
そもそもですが、転職成功率の定義付けから始める必要があります。
成功の定義は人それぞれ。
「成功した」と本人が考えれば成功でしょうし、どんなに好条件で転職しても、本人が「失敗」というなら失敗です。
本記事では、体験談でなく、あくまで「成功率」をご紹介したいので、感じ方は人それぞれあると思いますが、転職成功率を以下のように4段階で定義しました。
転職成功率の定義
①転職できた割合
②正社員として転職できた割合
③無職期間のない転職割合
④転職により給料が上がった割合
それでは、それぞれ見て参りましょう。
転職成功率①:50代で転職できた人の割合は?
離職率(常用労働者に対する離職者の割合)と転職入職率(離職から1年以内に転職した人の割合)を比較しました。
また各年齢層とも対比。
これにより、50代で離職した人の1年以内の転職成功率が、他の年齢層と比較して高いのか低いのか推測できます。
■男性(年齢別・全雇用形態)の離職率と転職入職率
年齢計 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | |
離職率 | 13.4% | 7.4% | 8.2% | 6.0% | 9.1% |
転職入職率 | 9.3% | 5.9% | 6.2% | 6.3% | 5.3% |
転職成功率① | 69.4% | 79.7% | 75.6% | 105.0% | 58.2% |
年齢計や40代と比較して、50代前半の転職成功率は高いのが分かります。
成功率が100%超となっているため、データでは離職した全ての人が何らかの形で1年以内に転職していると言えるでしょう。
一方で、50代後半になると成功率が大きく下がっています。
このデータを見る限り、「50代前半の転職成功率は高い」と言えます。
転職成功率②:50代で正社員として転職できた人の割合は?
次に正社員として転職した人の割合を、他の年齢層と比較してみました。
私自身は若干の異論がありますが、一般的には正社員の方が給料も高く、雇用も安定するはずなので、こちらを転職成功としました。
なおこちらのデータは2018年版となっています。
■男性(年齢別)の転職後の雇用形態
年齢計 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | |
期間の定めなし(転職成功率②) | 72.3% | 85.0% | 89.2% | 84.6% | 74.9% |
期間の定めあり | 27.7% | 15.0% | 10.8% | 15.4% | 25.1% |
40代と比較して、50代前半の正社員の比率は変わらないことが分かります。
一方で50代後半になると、一気に比率が下がるので、こちらもフルタイムの正社員として転職したいなら「50代前半まで」となります。
次の表は全年齢層が対象となります。
【前職】雇用期間の定めなし | 【前職】雇用期間の定めあり | |||
【現職】雇用期間の定めなし | 【現職】雇用期間の定めあり | 【現職】雇用期間の定めなし | 【現職】雇用期間の定めあり | |
比率 | 50.4% | 14.8% | 7.5% | 24.0% |
これによると、雇用期間に定めのある契約社員、派遣社員などが、雇用期間に定めのない正社員に転職する確率は約25%、4人に3人はパートや契約、派遣社員のままの雇用形態であることが分かります。
これらのデータから、正社員から契約社員や派遣社員へ雇用形態を変更することは、その後の再転職で正社員へ戻られる確率が下がり、50代にとってはリスクが大きいことを示しています。
転職成功率③:50代で無職期間のない転職者の割合は?
離職から転職活動に要した期間を年齢別に比較しました。
次の転職先を見つけて離職するケース、つまり無職の期間がない人は、転職先が今の労働条件より良いとの判断で転職するケースが多いでしょうから、こちらを転職成功としました。
もちろん各家庭の事情や給料などの条件があるので、一概に全て成功とは言えないでしょう。
■男性(年齢別)の離職期間
離職期間 | 年齢計 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 |
15日以内(転職成功率③) | 46.4% | 53.1% | 55.7% | 51.8% | 58.2% |
3ヶ月以内 | 27.6% | 30.4% | 19.3% | 24.0% | 20.1% |
3ヶ月以上 | 26.0% | 16.5% | 25.0% | 24.2% | 21.7% |
調査結果によると、50代の50~60%が離職15日以内、つまり無職期間を経ずに転職している事が分かり、40代と比較しても大きな違いないことが分かります。
「次の転職先を見つけた上で離職する」傾向が、50代男性は、よりはっきりとしているのかもしれません。こちらも「50代の転職成功率は高い」という事ができるでしょう。
転職成功率④:転職により給料が上がった割合は?
転職成功率を計る上では、最も合理的なデータかもしれません。
前職と比較して、給料が上がった割合を、これも年齢別に比較しました。
■男性(年齢別)の転職前後の給料の変化
転職による変化 | 年齢計 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 |
給料が上がった(転職成功率④) | 35.3% | 39.4% | 32.9% | 19.6% | 22.1% |
変わらない | 27.8% | 32.1% | 42.1% | 35.2% | 32.0% |
給料が下がった | 35.3% | 27.3% | 24.0% | 43.0% | 42.3% |
くしくも全体平均では、転職により「給料が上がった」と「給料が下がった」比率がちょうど同じ。40代は「給料が上がった」人が多く、逆に50代は「給料が下がった」人が多い結果となりました。
給与面から言えば、「50代の転職成功率は高くないと」と言えます。
とはいえ、「変わらない」と合わせれば、50代以上でも50%以上の人が転職によって「給料が下がっていない」のも事実です。
50代の転職成功率まとめ
厚生労働省が毎年実施する調査結果から考察した50代の転職成功率でした。
私がまとめているのは、あくまで仮説の範囲ですが、データそのものは毎年実施、母集団も多く、信頼できるのではないでしょうか。
ここまで、50代の転職成功率について、次のようにまとめる事ができるでしょう。
・54歳までの転職なら40代と成否に大きな違いはない
・一度、契約社員や派遣社員になると、次の転職で正社員に戻る確率は25%
・50~60%の人が次の転職先を決めてから離職している
・50%以上の人が転職により給料が下がっていない(アップもしくは現状維持)
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転職エージェントの利用をおすすめします。
専門の担当者より、あなたのこれまでのキャリアや経験と、50代の採用に積極的な企業をマッチング、より良い条件で紹介してくれます。
さらに、自身の市場価値を知ることで、今後の転職活動を進める上でも役立ちます。
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今日はここまで。今後のキャリアデザインを進める上で、少しでもお役に立っていれば幸いです。
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