不動産・宅建

【転職・就職】不動産業界地図とコロナの影響

不動産業界への転職や就職を目指す方へむけ、「業界の姿」をすっきりまとめました。

全体が俯瞰できるよう、特にコロナウイルス感染拡大後、業界にどのような影響があったのかご覧下さい。

また転職検討用に大手各社や中小企業の平均給与を比較して表示しています。シンプルですが、こちら使い勝手のよいデータです。

 

不動産業界とは

不動産業界には、用地を取得してマンションやオフィスビル、商業施設を開発する「不動産デベロッパー」、開発物件を売却、賃貸する「販売・仲介業者」、物件の運営管理を行う「管理会社」などがあり、大手から中小、さらには個人経営まで裾野は非常に広いです。

不動産業界の事業所数や従業者数は、それぞれ約30万事業所、約100万人と多く、また不動産投資ファンドやIT系の不動産テック企業など、業界を取り巻く関連企業もあわせると、建築業界などに続いて全産業の中でも大きなウェイトを占める業界です。

 

不動産業界地図

不動産の開発から、賃貸・販売・仲介・管理までが、不動産業界の大まかな流れです。
図示すると、このようになります。

以降で取り上げる各社の売上数字等は、2019年度の有価証券報告書、および2020年4月から6月を中心とした決算短信データによるものです。

 

不動産デベロッパー

不動産デベロッパーとは

不動産開発業者のことで、大規模な宅地造成やリゾート開発、再開発事業、オフィスビルの建設やマンション分譲といった事業の主体となる企業のことです。
「総合デベロッパー」「不動産総合」という言葉の定義は曖昧ですが、オフィスビルやマンションに限定せず商業施設やレジャー施設の建設も含めて総合的に街づくりを計画している企業を指す場合が多いです。

 

コロナ禍が不動産デベロッパーへ及ぼす影響

2019年までは東京オリンピックの開催に向け、東京都心部のオフィスビルや分譲マンションの開発が盛んに行われており、コロナ以降、直近4半期の業績も、それら開発物件の引き渡しや賃貸開始による売上増がありました。
コロナ禍による商業施設やホテルの休館、それに伴う家賃の減免対応により大幅な売上減はあったものの、全体では大手各社とも5%程度の減収に落ち着いています。

 

不動産デベロッパー主要企業

三井不動産(東証一部)
売上高  1兆9056億円 経常利益 2585億円
主な商業施設やビル・・・東京ミッドタウン、ららぽーと横浜、三井アウトレットパーク

三菱地所(東証一部)
売上高  1兆3021億円 経常利益 2195億円
主な商業施設やビル・・・丸ビル、サンシャインシティ、横浜ランドマークタワー

住友不動産(東証一部)
売上高 1兆135億円 経常利益 2205億円
主な商業施設やビル・・・新宿住友ビル、泉ガーデンタワー

東急不動産(東証一部)
売上高 9,632億円  経常利益 675億円
主な商業施設やビル・・・渋谷ヒカリエ、二子玉川ライズ

野村不動産(東証一部)
売上高 6,765億円 経常利益 730億円
主な商業施設やビル・・・新宿野村ビル、日本橋室町野村ビル

森ビル(東証一部)
売上高  2,052億円 営業利益 607億円
主な商業施設やビル・・・六本木ヒルズ、表参道ヒルズ、ラフォーレ原宿

 

不動産売買仲介会社

不動産売買仲介会社とは

どちら側の仲介に立つかで「売りの仲介」と「買いの仲介」に分かれます。
売りの仲介会社は「元付け業者」と呼ばれ、不動産を売りたい人から依頼を受け、買主を見つけるのが仕事です。
反対に買いの仲介会社は「客付け業者」と呼ばれ、不動産を買いたい人に物件を提案するのが仕事です。
完全に役割分担されている訳でなく、どちらのウェイトが高いかというレベルです。また大手各社の場合は、当然いずれの機能もあります。

 

コロナ禍が不動産売買仲介へ及ぼす影響

2020年4月の首都圏の中古マンション成約件数は1629件、前年比52.6%減と大幅減となっています。これは1990年にデータを発表して以来、過去最大の減少率です。
中古戸建の成約件数も686件で昨年比41.5%の大幅減、こちらも過去最大です。
コロナ禍における不動産売買仲介会社への影響は甚大です。

 

不動産売買仲介の主要企業

三井不動産リアルティ
売上高 849億円 仲介件数 42,818件
店舗数 282店(三井のリハウス・三井のリパーク)

住友不動産販売
売上高 693億円 仲介件数 37,715件
店舗数 276店(住友の仲介STEP)

東急リバブル
売上高 622億円 仲介件数 26,437件
店舗数  190店

 

不動産賃貸仲介会社

不動産賃貸仲介会社とは

ビルやマンションのオーナーと入居者を結び付け、賃貸借契約を結ぶ仲介をするのが業務です。大きく「仲介専業」と、後から登場する「管理会社との兼業」の2つの業態に分かれます。

 

コロナ禍が不動産賃貸仲介会社へ及ぼす影響

2020年4月から6月の首都圏の賃貸仲介実績は13,469件。昨年同時期と比較して約20%の減少です。一方、「管理会社との兼業」業態は、従来の管理物件からのストック型収益のおかげでコロナの影響は今のところ最小限です。コロナによる店舗の休業もありましたが、賃貸仲介会社のコロナの影響は、売買仲介会社と比較して大きなものにはなっていません。

 

不動産賃貸仲介の主要企業

レオパレス21(東証一部)
売上高 4335億円 経常利益 △363億円
店舗数 273店舗

APAMAN(ジャスダック)
売上高 459億円 経常利益 7億円
店舗数 アパマンショップ 1143店舗(直営・FC)

 

不動産管理会社

不動産管理会社とは

ビルやマンションの主に賃貸物件の管理をする会社です。
オーナーに代わって賃貸物件の管理・メンテナンスを行うと同時に、入居者からの問い合わせやクレーム対応を行う仕事です。
先に書いた「不動産管理会社専業」と「賃貸仲介との兼業」の2つの業態に分かれます。

 

コロナ禍が不動産管理会社へ及ぼす影響

不動産賃貸仲介会社で書いた通りです。コロナ禍による不動産管理会社への影響は、不動産売買会社と比較すると大きなものとなっていません。

 

不動産管理の主要企業

スターツコーポレーション株式会社(東証一部)
売上高 2090億円 経常利益 241億円
不動産営業店舗「ピタットハウス」は全国 645店舗

株式会社大京
売上高 3351億円 経常利益 198億円
オリックス株式会社の完全子会社となるに伴い2019年1月上場廃止。上記は上場廃止前の有価証券報告書によります。

日本管財株式会社(東証一部)
売上高 1063億円 経常利益 72億円

 

不動産投資ファンド

不動産投資ファンドとは

投資家から集めた資金などを元に、複数の不動産を購入、そこから生じる賃貸収入や売却益を配当金として分配するファンドです。
投資案件の開発やエグゼキューション(投資実行)、投資先の売却などが主要業務です。

 

コロナ禍が不動産投資ファンドへ及ぼす影響

感染拡大による経済全体への影響は大きいものの、金融緩和による資金調達環境が継続するなか、直近の影響は軽微です。
また海外投資家や国内不動産会社、J-REITなどによる物件取得意欲が引き続き高く、かつ需要と比べて供給(優良物件)が少なく、優良物件への投資意欲は旺盛です。 現時点ではコロナ禍が不動産投資ファンドへ及ぼす影響は、ほぼ認められていません。

 

不動産投資ファンドの主要企業

日本ビルファンド投資法人(東証一部)
売上 391億円 経常利益 155億円
保有物件 71物件(六本木ティーキューブ、西新宿三井ビルディングなど)
取得価格累計 1兆1355億円

ジャパンリアルエステイトア投資法人(東証一部)
売上 359億円 経常利益 163億円
保有物件 73物件(リンクススクエア新宿、新宿フロントタワーなど)
取得価格累計 1兆532億円

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未経験でも不動産投資ファンドに転職は可能です不動産業界へ転職を目指す方へ、投資ファンドへの転職方法を書いています。 「不動産投資ファンドってなに?」「未経験の自分はムリでしょ...

 

不動産テック

不動産テックとは

AIなどのテクノロジーを使って不動産取引を効率的なものに変えていく取り組みを不動産テックといいます。
具体的には、買取査定や営業や契約業務の簡素化、スマートフォンを使ったスマートロック、VRを使って住宅展示場を内覧できる取り組みなど。ホームズやスーモなど不動産系ポータルサイトの運営企業も広い意味では不動産テック企業と言えます。

 

コロナ禍が不動産テック企業へ及ぼす影響

コロナウイルス感染拡大の影響を受け、不動産販売会社や金融機関の営業自粛による影響が懸念されましたが、テレワークによる営業体制の早期確立ニーズが盛り上がったことや、クラウドサービスによる月額課金のストックビジネスが業績を下支えしていることもあり、むしろ売上・利益ともに堅調、成長局面です。

 

不動産テックの主要企業

GA Technologies(東証マザーズ)
売上高 392億円  経常利益 10億円
AIを活用した中古不動産の不動産投資家向け総合プラットフォーム「RENOSY(リノシー)」の開発・運営

LIFULL(東証一部)
売上高 393億円 税引前利益 35億円
総掲載物件数No.1の不動産・住宅情報の総合サイト(LIFULL HOME’S(ホームズ))の開発・運営

SREホールディングス(東証マザーズ)
売上高 38億円  経常利益 7億円
不動産業界や金融機関向けに業務支援型AIクラウドサービス(不動産査定ツールなど)の開発・運営

 

不動産業界の平均給与

ここまで紹介しました主要企業のうち平均給与が公開されている上場企業、厚生労働省より毎年発表されている賃金データを比較しました。

大手各社の平均給与

社名 業種 平均年齢 平均年収(万円)
三菱地所 デベロッパー 41.3 1,274
三井不動産 デベロッパー 40.9 1,273
東急不動産 デベロッパー 44.3 1,137
野村不動産 デベロッパー 47.8 946
森ビル デベロッパー 43.1 889
大京 不動産管理 43.7 742
SREホールディングス 不動産テック 40.3 688
GA Technology 不動産テック 30.5 682
住友不動産 デベロッパー 43.1 679
LIFULL 不動産テック 34.4 630
スターツコーポレーション株式会社 不動産管理 35.7 582
APAMAN 不動産賃貸仲介 40.4 556
レオパレス21 不動産賃貸仲介 38.8 504
日本管財 不動産管理 52.8 348

 

不動産業界の平均給与

業態 規模 平均年齢 平均年収(万円)
不動産販売・仲介業 企業規模1,000人以上 37.9 673
企業規模100~999人 39.1 638
企業規模100人未満 40.4 479
不動産管理業 企業規模1,000人以上 45.4 523
企業規模100~999人 44.8 465
企業規模100人未満 45.0 444

 

コメント

大手総合デベロッパーの平均給与は図抜けて高いことが分かります。非公開企業につき詳しいデータは分かりませんが、系列の三井不動産リアルティなどの販売会社がこれに続くと思われます。

賃貸仲介や不動産管理は企業によりバラツキがあります。その原因は、各企業の事業セグメント(開発・仲介・管理)の構成比率の違いによるものです。

総じて開発が高く、管理が低くなる傾向にあります。

業界平均を見ると、中小規模(100~999人)が大規模企業と比較して、大きく変わらない事が分かります。

不動産業界の特徴として、上場含め規模に関係なく、中小規模でも高い収益性をあげる企業の年収が高くなる傾向にあるようです。

開発力のある中小規模の不動産デベロッパーは狙い目ではないでしょうか。

 

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